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自分たちの問題だと認識しなければいけない

――今、言われているのが、ご家族の方たちの高齢化ですよね。横田滋さんは昨年、亡くなりました。

野伏 そうですね。横田滋さんの人格は素晴らしく、僕もこの人のために頑張ろうと当初は思っていましたが、今はもう被害者家族の方がかわいそうとか、そういう感情的なことでは活動は続けられないと感じています。もっと我々、国民全体の問題として捉えて、北朝鮮という国家の犯罪なんだと大きな意識を持たなければいけないと強く感じます。今もいかに多くの人が捕えられているのかを若い人にもわかってもらいたい。自分たちの問題だと認識して対応しないと、また危険があるんだと言い続けていくことが重要だと思います。

©映画「めぐみへの誓い」製作委員会

国内の警備の緩さに対する憤り

――初めて舞台化してから約10年が経ちます。この10年で監督が感じていらっしゃることは?

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野伏 映画のエンディングロールに支援してくださる方の名前が出てくるんですが、20代のOLの方やタクシーの運転手さんなどさまざまな方が、毎月1万円とか寄付してくださる。そういう人たちが多いことには感動していますし、救う会の人たちの地道な活動に対して、改めて信頼を感じます。でも、もちろん憤りは変わらず。この平和な民主主義の国家で国民を守れないことに対する、国内の警備の緩さに対する憤りが強くなっています。映画を作ったことで拉致問題解決への起爆剤になってくれたらいいですね。多くの政治家にも観てもらいたいです。

――多くの方が、すごくもどかしい想いを抱えていらっしゃいますよね。

野伏 昔、レバノンの女性が北朝鮮に拉致された事件がありましたが、その時、レバノン政府は軍隊を出すと通告して強硬な態度に出たんですよ。そしたら早期に解決した。日本は戦争を放棄している以上、軍隊は派遣できないけど、これは戦争ではなく救出だから。警察の特殊チームなどが救出に行けないものかと考えてしまいます。

©映画「めぐみへの誓い」製作委員会

めぐみさんも呼びかけを聞いている。そう信じています

――ラジオで北朝鮮にいるめぐみさんに呼びかけるラストシーンについてお聞かせください。

野伏 何回も妨害電波を出されていて、そのたびに周波数を変えてこちらから発信しています。僕も呼びかけをしたことがあります。あれだけ妨害電波を出すということは北朝鮮内で絶対に聞いているはずなんです。めぐみさんも聞けているはずです。そう信じています。

のぶししょう/1952年、茨城県生まれ。文学座演劇研究所を経て1982年、夜想会を旗揚げ。初期はシェイクスピアなどを上演。映画監督として『とびだせ新選組!』などを手掛ける。

INFORMATION

映画『めぐみへの誓い-The Pledge to Megumi-』
2021年2月19日(金)より池袋シネマ・ロサ、AL☆VEシアター(アルヴェシアター/秋田市)他全国順次公開!
http://www.megumi-movie.net/