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3月23日、小池都知事が「このままだとロックダウンの可能性」と発言

 この一年間の東京都のコロナ対策を振り返った時に、何が成功で、何が失敗だったのか。

 忘れもしない昨年3月23日のことですが、記者会見で小池都知事が「このままだとロックダウンの可能性もある」と強いメッセージを繰り出されました。あの発言は私も予想していませんでした。ロックダウンという具体的な言葉を使うことで、国民の皆さんが、ニュース映像で観ていたニューヨークやイタリアの様子を頭の中に思い浮かべ、「これはとんでもない事態だ」と思うようになった。

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 あの会見は、時短営業の要請が出る前に行われました。私の認識では、会見が報道されてから感染者数が減っているのですが、実際に空気が変わったのが分かりましたよね。街から人が消えていった。これは様々なデータの解析結果でもはっきりしています。「ロックダウン」という表現を使うことには様々な批判の声もありましたが、あの会見が間違いなく、日本を第一波から救ったと思っています。

「3密」というキーワード

 ちなみに小池都知事が「3密」というキーワードを発信したのも、その2日後の会見でした。それで言うと、感染リスクのある密集、密閉、密接を避ける必要性を非常にシンプルな「3密」の概念に落とし込んだ厚労省クラスター対策班の功績も、とても大きかったと思います。

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 この一年の都の対応策について、私は専門家として関わってきていますので、評価する立場ではありません。都の職員の方々は非常に優秀で、モニタリング会議での我々専門家による問題提起に対しても、皆さん死ぬ気で考えていることが伝わってきます。私自身は、今思えばあのタイミングではこういう対策を行うこともできたのでは……と考えることは多々あります。そこはこれまでの対策をよく反省して次につなげるべきと考えています。