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【本日接種スタート】「ワクチン不信は社会が救われない」 東京都新型コロナ対策アドバイザーの医師が語る感染症対策の“不備”

『週刊文春 新型コロナ完璧サバイバルガイド』より#2

2021/02/17

source : 週刊文春出版部 週刊文春 新型コロナ完璧サバイバルガイド

genre : ライフ, 医療, 社会, 政治

note

 さらにワクチンが変異株のウイルスに効果があるのか、という問題もありますね。変異株は感染力が強い、致死率が高いといった報道もありますが、正直なところ不確かな情報しかなく、なんとも言えません。ワクチンに効果があるのか、変更が必要になるのか。ただ、まずは変異株がどうという前に、やはり目の前の感染を強く抑えることが必要だと思っています。

「うちの子だけ2回打ちたい」

 4月からは高齢者へのワクチン接種が始まる。一括りに高齢者といっても、基礎疾患のある人や、要介護で接種会場へ行けない人もいる。どう順番を付けるかも課題になっている。

 行政がある程度の順番を決めてくれるはずですが、ロジスティック(調達や配給)を組み立てるのが、相当大変です。

 09年に新型インフルエンザのワクチンが出回り始めたときもバタバタした経験があります。当時、私は静岡にいましたが、「今日は100人分だけ来る」「じゃあ、誰に打たせるんだ」「うちの子だけ2回打たせてほしい」とか、色々な問題が起きました。今回のコロナワクチンでも、3000万人分が1気に届くわけではなく、計画的に分配されることになるでしょう。どの高齢者施設に回すとか、どの集団接種会場に回すのか、といったことも考える必要があります。

おおまがり・のりお/1997年、佐賀医科大学医学部卒。2010年に静岡がんセンター感染症内科部長。12年より国立国際医療研究センター病院・国際感染症センター長。日本感染症学会専門医・指導医。感染症の臨床一般、危機管理を専門とし、この1年は東京都の新型コロナ対策アドバイザーとして、最前線で対応にあたってきた。

じんぼ・なおき/1970年生まれ。中央大卒。2004年より「週刊文春」記者。14年頃から主に医療・健康に関する記事を取材執筆。メイン執筆者となった文春ムック「認知症 全部わかる!」が発売中。20年10月をもって独立。

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