1ページ目から読む
2/3ページ目

 今、感染拡大を抑えるのに期待されているのがワクチンだ。2月17日より日本でも医療従事者から接種が開始された。

 ワクチンには非常に期待しています。海外のデータですが、有効率95%という数字が出ていますね。これは大きいです。

 ただ、ワクチンの効果は、なかなか見えづらい部分もあります。個人レベルであれば、90%とか95%といった数字で見ることができますが、社会に適用した時、つまり多くの人がワクチン接種をした時に、どのような結果が得られるかは予想するのが難しい。もちろん、重症化する人が減れば良いですが、一時的に蔓延が収まるだけで、やがてワクチンの効果が薄れて、また患者が出てしまうのか、そのあたりはわかりません。

 一方でアナフィラキシーショックなど副反応の問題も指摘されていますが、ワクチンには必ずアレルギーがあり、極端な反応が出る方もいらっしゃいます。ただ、アナフィラキシーの場合、症状が出るのは接種後15分程度なので、それに対応できるようにしっかり準備して、不必要に恐れるべきではないと思います。

ADVERTISEMENT

 実際、我々も新型インフルエンザ対策として新宿区内で年に1、2回ワクチンの集団接種の訓練をやる際に、開業医の方々に集まっていただき、アナフィラキシーにも対応できるようにしてきました。

 ワクチンは社会を一気に救う可能性があります。そこには医師として心底期待したい。そのためにはワクチンが適切に広まらなければならない。しかしそこで、副作用の話を歪んだ形でおどろおどろしく伝えて不安を煽ることは絶対に行ってはいけません。結果的に人々がワクチン不信に陥ります。それでは救われる社会も救われなくなります。不幸すぎます。