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「ルール設定」と「裁判方式」

 橋下氏は、「ルール設定」と「裁判方式」の2つを挙げた。「ルール設定」とは、事前に可能な限りのルールや指標を決めておいて、それらに基づいて政治的判断をおこなうこと。「裁判方式」とは、1つのテーマについて賛成・反対派に分かれて徹底的に議論し、最後に裁判官役であるトップが裁定をくだすというものだ。

 混迷を極める東京五輪についても、この手法を適用すべきだという。

「東京五輪開催の是非も、“正解”が分からない問題の1つです。正解が分からないテーマは、先に結論を決めてしまってはいけません。(中略)今決めるべきなのは、大会を『やる』か『やらない』かという結論ではない。まず判断時期を定めるべきです。準備期間を考えれば3月、遅くても4月でしょう。どういう状況なら開催し、どういう状況なら開催を諦めるのか、具体的な指標も決めなければなりません。

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西村大臣

 そして判断すべき時期が来たら『裁判方式』にのっとり、先に設定した開催可否の具体的指標に基づいて開催の賛成派・反対派に分かれて菅総理の面前で徹底的に議論を尽くしてもらう。その上で菅総理が決断を下すべきでしょう。オリンピックの開催くらい、ドンと構えて自分たちで判断・決断しなければなりませんよ。

 僕が危惧する事態は、日本がズルズルと判断を先送りにする中で『この状況だとオリンピックなんて出来ないよね』という雰囲気が世界各国を覆ってしまう――その流れで“なし崩し的”に開催が中止になることです。これは考えうるなかでも最悪のシナリオですね。

 先日、イギリスの有力紙『タイムズ』が『東京五輪が中止の方向で動いている』と報じて話題になりました。他国から先にこのような中止論が出て、日本側が慌てて火消しに走るのは、本当に情けない話です。

 僕自身は憲法九条改正論者ですが、与野党含めて多くの国会議員は『自分の国は自分で守るんだ』とよく言います。ですが、自国のオリンピックをやる・やらない程度の問題も決められない政治家たちが、自分達の国を守れるわけがありませんよ」

出典:「文藝春秋」3月号

 橋下氏のインタビュー「菅総理よ、異論を聞く耳を持て」全文は、「文藝春秋」3月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

文藝春秋

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菅総理よ、異論を聞く耳を持て