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1ヶ月に10着買っていたインフルエンサーが年に2、3着しか買わなくなった訳

2021/02/27
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エコバッグをもつのもシリコンラップを使うのも、それがクールだから

――現地の人々はどんなふうに取り組んでいるんですか?

塩谷 ポイントを貯めたら楽しいのと一緒で、「今日もゴミをひとつ減らせた、偉い!楽しい!うれしい!」みたいにゲーム感覚でやってるんです。そうすると自然と家の中が散らからないし、ものを買うときにも慎重になって、たとえば服なら何年でも着られる愛着のわくものを丁寧に選ぶ意識が芽生えてくるんですね。結果、ものをあまり買わなくなりました。

 無論、慣れ親しんだ便利なものを手放すには、苦痛が伴うこともあります。だから多くの人が「エコ、エコってうるさいな」という気持ちになるのも理解できます。そして、エシカルな生活は最初の一歩にお金がかかることも多いですよね。たとえば3000円のLEDと300円の白熱球とどっちがエコかといったらLEDだけど、その最初の数千円が負担に感じる人もいる。私自身、上京してすぐは、LED電球を買うお金もなかったので、環境問題なんて別世界の出来事でした。エシカルファッションなんてとくに、お金持ちの贅沢だろうと反発したくなっていた時期もありました。

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 でも、経済的に無理していきなりすべてをエシカルな商品にするんじゃなくて、いまあるものを使い終わってから大事にリユースできるものに差し替えていくだけで、生活から出るゴミは大きく減らせます。100をゼロにしようとするのではなく、たくさんの人が100を70にするだけで相当マシになる。

 観察していると、ニューヨーカーは環境問題にラフに取り組んでいる人が多いなぁと。たとえば週末、犬の散歩にいきがてら公園にコンポストが出ているから生ゴミを持っていこうか、同じ野菜を買うならコープやファーマーズマーケットで買おうかとか、みんなそれをクールだと思って自然にやっている。エコバッグをもつのもシリコンラップを使うのも、なにも我慢しているわけでなく、それがクールだから。そんな生活のなかの自己肯定感から生まれるプラスのエネルギーがすごいんです。

NYの公園のコンポスト