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そんな総会屋の中で、指つめの制裁が行われたのは、最盛期には40人以上の勢力を保ち国内最大の総会屋グループとされた論談同友会だった。
同会が管理していた製薬会社の株券を、ある中堅幹部が大量に持ち出して行方が分からなくなった。同会はメンバーを動員して持ち逃げした中堅幹部の行方を追った。当時を知る元メンバーが振り返る。
制裁は「右手の人差し指を根本から切断」
「多人数で次々と関係先を当たった。(交際していた)女の家の近くで張り込んでいたところ、男が姿を現したため取り押さえた。その結果、何らかの罰を与えることになった」
このとき行われた制裁は、右手の人差し指を根本から切断するということだった。
「その制裁の後、この中堅幹部は再び行方が分からなくなった」(同前)
ほとんどの総会屋は「我々はヤクザではない」と主張していたが、多くの総会屋が暴力団的な気風を持っていた。
論談同友会は指定暴力団住吉会の有力2次団体と友好関係にあった。広島県出身の会長の正木龍樹は若いころ、地元の暴力団に所属し背中には刺青を入れていただけでなく、当時の不始末から両手の小指の先端を切断していた。正木のほか刺青を入れていた幹部も多かった。
暴力団社会で慣習として続く「指詰め」は現在、暴力団対策法で禁じられている。しかし、いまでも指詰めが行われ傷害事件として摘発されるケースもある。暴力団社会ではいまだに行われているとみられる。(敬称略)