「ヤクザになったばかりの頃に、兄貴分が刺青を見せてくれた。これが格好良かった。それで自分も刺青を入れた」
関西に拠点を構える指定暴力団の幹部が、刺青を入れた際のことを振り返る。
「ヤクザになるということは、この業界の不条理を受け入れて我慢を背負っていくこと。そのけじめという意味でも刺青を入れた。近ごろはファッションになっていて、タトゥーと呼ばれて若者の間で流行しているようだが……」
「刑務所のお風呂ではすぐ目に留まる」
暴力団員とセットで語られることも多い刺青。暴力団犯罪捜査のベテラン刑事が、その関係について述べる。
「ヤクザの多くは、実際に刺青を入れている。背中全面から胸、両手首までと上半身ほぼ全てという者もいれば、腕だけなどいろいろだ。ただ、そんな中で、刺青を入れていない指定暴力団の大幹部もいた。ヤクザだろうが、サラリーマンだろうが、何か成果を上げるのに必要なのは、その人物の器量だ。ヤクザの社会でも刺青があるかないかで何かを判断されるわけではない」
実際に、刑務所でこんな体験をした指定暴力団の幹部もいた。