「文藝春秋」2月号の特選記事を公開します。(初公開:2021年1月31日)
◆◆◆
天皇皇后両陛下は1月27日午後3時10分、お住まいの赤坂御所で、昨年7月の豪雨で65人が亡くなるなど、大きな被害を受けた熊本県の被災者をオンラインで見舞われた。
昨年、新型コロナウイルス拡大のため現地訪問を見送られたもので、オンラインで被災者を見舞うのは初めてだった。
両陛下は、独自のコロナ緊急事態宣言を発令した蒲島郁夫知事から現在の再建状況や氾濫した球磨川の治水対策の説明を受けられた後、甚大な被害を受けた人吉市、八千代坂本町、球磨村、芦北町の4カ所をオンラインで結ばれて、各市町村長や代表の被災者6人に言葉を掛けられた。
コロナ終息を願われる強いお気持ち
皇后雅子さまは、琢磨村で仮設住宅に住んでいる被災者の女性に「お家が全壊と伺っていますが大変でしたね。生まれ育ったお家には思い出もたくさん詰まっていたでしょうし、さぞ胸を痛められたと思います」とモニター越しに心を寄せられた。
「両陛下は、消防航空隊やボランティアなどにも声を掛けられ、終了したのは約3時間後でした。通常の行幸啓と違って移動はないものの、オンラインによる対話の難しさが皇后さまのお疲れにならなければいいのですが……」と宮内記者は語った。
令和3年の正月は一般参賀が中止になったことから、陛下は歴代で初めて新年のビデオメッセージを国民に向けて発表された。皇后雅子さまと並んで画面に向かわれ、「今年が皆さんにとって、希望を持って歩んでいくことのできる年になることを心から願います」と述べられた。
雅子さまも「今年が、皆さまにとって少しでも穏やかな年となるよう心からお祈りいたします」と語った。
6分45秒に込められたメッセージは、両陛下がコロナ終息を願われる強いお気持ちが感じられるものだった。