収穫期直前のナシが忽然と消えた。警察当局が窃盗の疑いで逮捕したのはベトナム人窃盗団だった。新型コロナウイルスの感染拡大で困窮が広がっているともされる在日外国人。

 だが、ナシを食べても飢えがしのげるとは思えない。最近は豚肉を解体した疑いでも別のベトナム人グループが逮捕されている。なぜ、ベトナム人窃盗団は食物を追い求めるのか。

逮捕されたベトナム国籍のグエン・トゥアン・アイン容疑者(ANNニュースより)

ナシは5000個以上、豚など家畜は数千万円以上

 群馬県警の警察官のお手柄だったと言っていいだろう。

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 すでにナシなどの果物の盗難被害が相次いでいた昨年10月、県警のパトカーが周囲の果樹園を巡回していたところ、突然、近くにいた男が逃走し始めたことから追跡。パスポートを携帯していなかった入管法違反容疑で逮捕したところ、果物窃盗に関与していたことが判明したという。

群馬県警察本部 ©️時事通信

 その後の捜査で窃盗の共犯者や、ナシを転売していた関係者も浮上。県警は今年2月17日、関係先の家宅捜索に踏み切り、盗まれたナシだと知りながら転売した盗品等処分あっせん容疑で、ベトナム国籍のグエン・トゥアン・アイン容疑者(38)を逮捕。ナシを買った埼玉県内のベトナム人夫妻も逮捕した。グエン容疑者は容疑を否認しているという。

逮捕されたベトナム国籍のグエン・トゥアン・アイン容疑者(ANNニュースより)

 県警の捜査では、ナシはSNSを通じて転売されていたとみられ、窃盗の実行犯と転売先の夫妻とは面識がなかったとみられる。

 群馬県内だけでも昨年1年間だけで約5600個(約113万円相当)のナシの盗難の被害届が出ている。昨年には埼玉県警がスイカ窃盗の疑いで別のベトナム人を逮捕。昨年は豚や牛などの家畜が生きたまま盗まれる被害も相次いでおり、北関東全体でその被害は数千万円におよぶとみられている。

(写真はイメージ)©️iStock.com

中国人を抜き検挙トップ 外国人万引きの6割

 ベトナム人による犯罪は、数年前から警察当局を悩ませてきた。2017年には、これまで検挙件数でトップを独走していた中国人を抜き、トップに。20年上半期では外国人の検挙件数のうち3割以上をベトナム人が占めた。

 厚生労働省が発表した20年10月末現在の外国人雇用の届出状況をみると、ベトナム国籍の労働者は中国籍を抜いてトップに立っており、在留数の増加に伴って犯罪が急増していることがうかがえる。