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秋田県民が本気で考えた――秋田にプロ野球球団を誘致すべき4つの理由

文春野球コラム ウィンターリーグ2021

2021/03/02

※こちらは「文春野球学校」の受講生が書いた原稿のなかから、文春野球ウィンターリーグ出場権を獲得したコラムです。

◆ ◆ ◆

 プロ野球の球団数を増やすとしたら、秋田県ほど新球団の本拠地に最適な地域はない。

 いま秋田県内に住んでいる僕は、本気でそう考えている。決して、人の背丈ほどもある雪の多さで気が触れたわけではない。

 昨今、既存の12球団に加えて新たに4球団、具体的には「静岡県」「沖縄県」「新潟県」「愛媛県」の4県を本拠地とする球団を追加する「16球団構想」が盛んに議論されている。

 いやいや、秋田県にはこれらの地域、いや既存の12球団の本拠地にも勝るとも劣らないポテンシャルがある。そして、誘致を目指すなら今だ。

 僕はそう確信している。決して、男鹿のなまはげに脅されて無理矢理主張させられているわけではない。

 今回は、とりあえず4点ほどその理由を紹介したい。

なまはげ ©iStock.com

秋田県がプロ野球チームの本拠地として最適な4つの理由

(1) 歴史的な背景が強固である

 あなたは、中馬庚(ちゅうまん・かなえ、読みは諸説あり)をご存知だろうか。

 19世紀末にアメリカから日本に伝来した「baseball」を「野球」と初めて翻訳した偉大な人物である。これはよく愛媛県出身の歌人・正岡子規の功績だと混同されるが、詳細はここでは省略する。いずれにせよ、中馬はその功績により野球殿堂入りを果たしている。

 中馬は東京帝国大卒業後に旧制中学の教員として20世紀初頭の日本全国に赴任したが、その中の一校が旧制大館中学校、現在の秋田県立大館鳳鳴高校である。当時から一世紀以上も存在し続けている同校の野球部は2011年に21世紀枠でセンバツへの出場を果たし、また昨年のドラフト会議でOBの佐藤宏樹(慶大)がホークスから育成1位で指名されている。

 つまり、中馬と関わりの深い秋田県には、正岡子規を擁する愛媛県に匹敵しうる「本拠地候補」としての歴史的な背景があると言っていいだろう。

 県北部の大館市にそんなエピソードがあるほか、県南部の横手市には伝説の大投手・ヴィクトル・スタルヒンの墓が存在する。墓所の寺院がスタルヒンの夫人の実家だったことがその理由だが、無国籍者として流浪の生涯を送ったスタルヒンが秋田に縁を持ち、その地で永い眠りに着いていることにただならぬ巡り合わせを感じずにいられない。

ヴィクトル・スタルヒンの墓 ©森杉駿太郎

 北から南までこんなエピソードが満載の秋田県は、やはりプロ野球チームの本拠地として最適であると僕は思っている。

 決して、乳頭温泉郷の秘湯でのぼせて言っているわけではない。

(2) 郷土料理「きりたんぽ」がスタジアムグルメに最適である

「秋田県の郷土料理と言えば?」

 日本各地の人々にそう質問したとき、最も多い回答は「きりたんぽ」であろう。説明不要のあの料理だ。

 ところで、きりたんぽの細長い棒状のシルエット、とくにこんがりと焼き上げてお好みで味噌を塗って食べる「焼ききりたんぽ」スタイルの見た目は、何かに似ていないだろうか。

きりたんぽ ©iStock.com

 あっ! バットにそっくり! これは野球のスタジアムグルメにピッタリ!

 既に十分な説明を尽くしたと思うが、せっかくなのでもう少し続ける。

「持ち手の棒を片手で持って食べる」系のスタジアムグルメは既に珍しくはないが、このスタイルはスポーツ観戦に最適だと言っていい。

「もう一方の手にカメラや応援グッズをキープできる」

「汁気がないので観客席でも『こぼす』心配がない」

「目の前の試合からほとんど目を切らずに食べることができる」

 ……など、弁当や汁物、麺類などと比較するとその優れた機能性は明らかである。

 既存の郷土料理がスタジアムグルメとして既に完成されていることを鑑みれば、直ちにこの地にプロ野球チームを設立し、このソウルフードを最大限に活かさなければならない。

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