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狙われるのは医者や会社役員、風俗店経営者たち
愛知県は長年、住宅を狙った侵入盗の被害件数が全国ワーストだった。昨年、件数こそワーストを脱却したが、被害総額6億円は全国最多。1件当たりの被害が大きく、それだけ高所得者が被害に遭っている実態がある。
「犯行グループが狙うのは、医者や会社役員、風俗店経営者たちです。所得が高く、自宅に多額の現金や貴金属、高級腕時計などがある場合が多いからでしょう。こうしたリストなどを扱う『情報屋』は闇で出回っている名簿や被害者の関係者や内部からの情報を犯行グループに流し、成果の一部を対価として受け取っているわけです」(同前)
投資用マンションや別荘購入者など高所得層が並ぶ名簿は闇で流通し、しばしば振り込め詐欺グループが使うこともある。愛知県警が押収した犯行メンバーのスマートフォンには、情報屋から実行犯に向けたSNSのやり取りも残されていた。
「一軒家80代のばあさん一人暮らし」
「200万で50%ずつです」
「空き案件で東京ですが、誰か行く人いませんか」
窃盗グループはこうした情報をもとに狙いを定め、下見などの準備に入る。使う車には偽造ナンバープレートを取り付け、バールなどの侵入のための工具や目立ちにくい黒の服、連絡用のインカムを用意する。そして実行に移すわけだが、実行犯同士のやり取りもまた生々しい。
「現金の有無とか分かるわけではないから、基本は数をこなさないと(利益は)上がらない」
「北の内偵入っているから市内合流でいい?」