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前原誠司さんの座組と、日本政治のダイナミズム

 でもねえ、たぶん民進党にいたほうが確かに議席は安定して確保できるかもしれないけど、いままでのルールのままで、いままでの民進党の延長線上には政権交代もなければ未来もなかったんじゃないかと思うんですよ。何かを、変えなければならない。救世主待望論はポピュリズムを生んで危険だとか、独裁的なリーダーを担ぐので大変だという考えもあるかもしれないけど、そんなことは百も承知でこの座組に前原誠司さんは賭けたんでしょう。勝負に出たんだと思います。消費税とか原発とか安全保障とか、細かな政治の座組や政策の是非で四の五の言って話がまとまらないよりは、白紙委任状のような移籍希望届に一発サインしろお前らと、踏み絵を迫ったのでしょう。

2011年の前原誠司 ©志水隆/文藝春秋

 常識で考えたら、勝算の低い博打です。でも、曲がりなりにも一定以上の議員を引き連れ、合流して選挙戦に突入できる程度には、前原誠司さんは勝った。ここから先は、虚心坦懐、有権者がどう判断するかです。引き続き自民党の安倍晋三首相がもたらすかもしれない豪運に賭けるのか、前原誠司さんが政治生命をなげうって作り上げたこの座組に張るのか、あるいは政策を重視し筋を通して徒手空拳でも己を貫いた枝野幸男さんや辻元清美女史の立憲民主党を信じるのか、公示前とは言いつつ非常に面白いものを見せてもらいました。

 こういうのを見ると日本政治のダイナミズムというか、まだまだ日本も捨てたもんじゃないな、歴史はこうやって動くものなのだな、と肌で感じることができて、非常に嬉しく思いました。ありがとう、前原誠司さん。

©getty