昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

試合を休まない。スワローズの「心棒」となった21歳・村上宗隆と、19歳の奥川恭伸に託す夢

文春野球コラム ウィンターリーグ2021

2021/03/08

 昨季、2年連続の最下位となったスワローズ。原因はもちろんいろいろあるのだと思いますが、今回はいちスワローズファン目線というよりは、いち落語家目線で原因を探ってみたいと思います。

 現在僕が所属している上方落語協会には、250人以上の落語家がいます。しかし、全国の皆さんが知っている大阪の落語家って何人いるでしょうか。

 文枝(前三枝)、ざこば、鶴光、文珍、南光、鶴瓶。

 もちろん、この6人の師匠方以外にも沢山の素晴らしい落語家を知っている方もいらっしゃるでしょうし、僕も尊敬する先輩は沢山います。しかし、あくまで個人的な意見ですが、現状の上方落語を引っ張っているのはこの6人の師匠です。この師匠方の平均年齢は、72.2歳。かたや、上方落語協会の平均年齢は約43歳。

 これって、近年の弱いスワローズと非常に似てるんです。12球団各チームの平均年齢は、約27歳。そのなかでスワローズの近年の主力であった、青木宣親、坂口智隆、バレンティン、雄平などの平均年齢は36.5歳でした。

 あの山田哲人ですら、平均年齢を少し超える28歳なんです。幸い、6名の各師匠、スワローズの主力もまだまだお元気なので、僕たち上方落語の下の者もスワローズの若手選手も、そこまでの危機感は感じていないのが現状であると思っています。

 でも、実はこれってすごくマズい状況だと感じます。こういう状況が続けば、組織であろうがチームであろうがいつかは破綻してしまう。

 僕は、スワローズのなかに同じような危機感を持った方々がいたのではないかと思っていて、2020年の戦力外通告のリストを見ていて、それを強く感じました。

 実績のある近鉄戦士で近藤一樹投手(37歳・現・独立リーグ香川オリーブガイナーズ)、引退したサブマリン山中浩史投手(35歳)、ムードメーカーとしても人気があった上田剛史選手(32歳)を始めとして、五十嵐亮太投手(41歳)や中澤雅人投手(35歳)、井野卓選手(37歳)を含め、スワローズは「血の入れ替え」を断行しました。逆に言うと、今までしなさすぎたのかもしれません。

 これで今季のチームの平均年齢はグッと若くなりました。ここまでしたからには、何かしらの歪みもくるでしょう。ただ、フロントは覚悟を決めてやったでしょうし、それだけの事をできる次の新しい力がしっかりと育ってきた「実感」があったからだと思います。

試合を休まない。これが一番簡単のようで難しい

 その「実感」とは。打では、村上宗隆。昨季はペタジーニ、ラミレスに続き、日本人野手としては球団初となる4番での全試合出場。そして、20歳での全試合4番は、1938年春の金鯱・小林茂太さん、1962年の東映・張本勲さんが持っていた最年少記録の22歳を更新。

 安打数は2019年は143試合に出場して118安打でしたが、昨季は120試合の出場で前年を上回る130安打とし、四球の数も74から87と増やし、出塁率では青木(.424)を抑えて1位(.427)に。そして、メジャーリーグでは重要な指標の一つになっている出塁率と長打率を足したOPSではセ・リーグで唯一1.0超えを果たす1.012を記録しました。

 パ・リーグでOPS1.0以上を達成したのがソフトバンク柳田悠岐選手だけという結果から見ても、この記録がいかに凄い記録かということがわかります。しかし、何よりも凄いのは、やはり「全試合4番での出場」ではないでしょうか。

 試合を休まない。これが一番簡単のようで難しい――。

 心棒がブレずにいつもキチッとまっすぐ立っていてくれることで、そのコマはその場で綺麗に回転することができるのと同様に、心棒が曲がるとそのコマは新しい心棒に替わるまではその場で綺麗に回ることができなくなる。

 近年のスワローズは山田哲人がその心棒になってくれていましたが(もちろん今季は新キャプテンとして期待しています)、昨季、少し曲がりかけたところを村上宗隆が見事に受け継いでくれました。プレーだけでなく、ベンチでも率先して声を出す姿。昨季、彼を見ていて本当に心強かった。

「村上がダメならしょうがない」と思わせてくれるぐらいの選手に成長してくれた。あとはこの綺麗なコマの回転力をあげる他のポジションの主力選手がどれだけ頑張ってくれるかというところになってくるんでしょう。

 昨季は宮本丈、濱田太貴あたりが少し光るものを見せてくれたし、10月23日のドラゴンズ戦では前年のドラフト5位、6位で入団し二軍戦でコンビを組む事も多かった長岡秀樹、武岡龍世の「10代二遊間コンビ」が一軍でも見られたし、この先期待できる選手をたくさん確認することができました。廣岡大志のトレードには少し複雑な気持ちになりましたが……。

 これで、少なくなったベテラン勢も、今季はより奮起してくれると信じています。個人的には19年目36歳の雄平選手、去年はケガで移籍1年目を棒に振った同じく37歳・嶋基宏選手に期待しています。