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『報ステ』『水戸黄門』『K-1』…伝説の番組の裏側にうごめく“テレビ局の思惑”とは

『テレビのからくり』より #1

2021/03/04

source : 文春新書

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 読書

 作り手がいかに力を入れて制作したとしても、人気=視聴率を獲得できなければ放送が打ち切りになってしまう。テレビ番組制作はある種残酷な一面を持つといえるかもしれない。弱肉強食な世界で、どのようにご長寿番組は誕生するのだろうか。その背景にはテレビスタッフの創意工夫と努力の姿があった。

 ここではフリージャーナリスト小田桐誠氏の著書『テレビのからくり』(文春新書)を引用。伝説の番組を生み出した関係者たちが、テレビ番組制作の裏側を明かす。(全2回の1回目/後編を読む)

◇◇◇

『報道ステーション』が目指すもの

 久米宏の後を受けた古舘伊知郎の初日第一声は、「申し訳ありません。スポーツ、バラエティとやってきたんでニュースキャスターではありません。これからニュースキャスターになります」。番組スタートから1カ月の古舘を見ていて、「キャスターになります」との宣言を実行しようと、肩に力が入りすぎ、眉間にシワを寄せすぎているとの印象を受けた。 

 久米と古舘は、多少軽佻浮薄ながら歯に衣着せずモノを言う共通点がある。ちなみに久米は再三再四、「自分はキャスターではありません。司会者です」と強調していた。『報ステ』について、同局の広瀬道貞社長は4月27日(編集部注:2004年時)の定例会見でこう語っている。

©iStock.com

「古舘さんは押しつけがましくない。加藤千洋コメンテーター(朝日新聞編集委員)とのバランスがよい。視聴率は『ニュースステーション』並みの14%台を期待している」

基本コンセプトは「正直なニュース」

『報ステ』のプロデューサーを務めるのは蓮実一隆。88年テレ朝に入社後、『サンデープロジェクト』でアシスタントディレクター、ディレクター、チーフディレクターを務め、『たけしのTVタックル』や視聴者との双方向による生のIQテスト番組『テスト・ザ・ネイション』プロデューサーから『報ステ』に転じた。その蓮実は、『GALAC』2004年6月号(編集発行・放送批評懇談会)で、

数字の取り方は僕もわかってるつもりですが、明日20%取ることがこの番組にとって得なのか。最低でも2年、3年やっていく番組として、それをやると結局尻すぼみ。(番組は)7割の伝統、3割の挑戦。7は『ニュースステーション』の財産で、3が新しい挑戦。凄まじくおもしろくはなかったけど、安心してニュースが見られるというのが最大の戦略

 と強調した。「正直なニュース」を基本コンセプトとし、その意味するところとして、わかったふりをしない。自分が正しいと思い込まない。視聴者をだまさないの三つを挙げ、視聴率との関わりで次のようにも語っている。

視聴者をだまさないのは、「CMの後はジャイアンツ」と言ったのに、なかなか出てこないことがよくある。こういうウソはつかない。これは視聴率との葛藤でもあります。視聴率を捨てるというのは、僕たちにとっては大きな決断なので