がん保険加入前に考える4つのポイント
がん保険への加入を検討する際に、考えておくべきポイントは4つあります。
1. がんになる確率はどの程度か。
2. がんに罹ったときに亡くなる確率はどの程度か。
3. がんになったとき、どの程度の費用がかかるのか。
4. どうすれば、そうした状況に備えられるのか。
まず、「がんになる確率はどの程度か」から考えていきましょう。
よく、「がんによる死亡は年々増えている」と言われていますが本当でしょうか。
亡くなった方が増えているのは事実ですが、それは高齢化の影響。年齢による影響を調整した数値をみると、過去50年、がんの死亡率は実質的には変化していません。詳しい説明は『がん保険のカラクリ』に譲りますが、がんを考えるとき、年齢はきわめて重要な要素です。
例えば、40歳の人であれば、10年間でがんになる確率は男性が2%、女性が4%。死亡率になると男性が0.4%、女性が0.5%です。
とはいえ、こういった確率だけで判断するわけにはいきません。がんになる確率が2%や4%と低いように見えても、その中に自分が入ってしまったら意味がないからです。
そもそも保険の本質は、「発生する確率は低いが、起きた時に大きなダメージをこうむる可能性がある事態に備えるため、大勢で少しずつお金を出し合う仕組み」です。
ですから、がんになる確率の低い若い年代のときにこそ、がん保険は特に意味のあるものだと言えると思います。
一方で、70代では5人に1人が、がんになるというデータがあります。そうした世代はどうすればいいのでしょうか。この本では当時、定年退職したばかりの自分の父親をモデルに検討しましたが、結論は「がん保険は不要。貯金で対応すべし」となりました。
理由は本でお読みいただきたいのですが、そもそも、5人に1人という高い確率で発生する事態に対して、保険で対応するのは経済効率が良くないことだけはお伝えしておきます。加入できる保険があったとしても、給付額が少ないか、保険料が高くなるからです。そうしないと給付金をお支払いする原資が不足してしまい、保険として成り立たないからです。これは保険のカラクリ、原理原則を考えればわかると思います。
次に、ひとくちに「がん」といっても、胃がん、食道がん、肺がん、女性の乳がんなど、部位や進行ステージによって、生存率は大きく違います。例えば、前立腺がんや乳がんの場合、最新のデータでは5年相対生存率は9割を超えているのです。
■がんの5年相対生存率
前立腺 97.5%
乳房(女性のみ) 91.1%
子宮体部 81.1%
子宮頸部 73.4%
大腸(結腸・直腸) 71.1%
胃 64.6%
食道 37.2%
肺 31.9%
膵臓 7.7%
全部位平均 62.1%
がんは「死に至る病」というイメージを持っている方が多いと思いますが、実際には「長く付き合っていく病気」に変わりつつあります。
こうした基本的な知識について、がんになられたご経験のある方はよくご存じですが、当事者になるまでは知らない人が少なくない。しかし、生涯を通じてがんになるのが2人に1人という時代であれば、誰もがこの病気について学べるよう、学校で教えるべきではないかと思います。