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「がん保険」はいるのかいらないのか。選択する目をもつために――岩瀬大輔社長インタビュー#1

『がん保険のカラクリ』(岩瀬大輔 著)で公開した保険のメリットとデメリット

「高額療養費制度」を知っていますか? 

 がんになる確率が比較的低い20代~40代ですが、がんになると当然、経済的なダメージは大きい。そのために保険で備えるわけですが、ここで重要になってくるのが、ポイント2「がんになったとき、どの程度の費用がかかるのか」です。

 保険を選択する際に重要なことは、「いくら保険料を支払って、どこまで保障してもらうのか」ということ。しかし、そもそもの治療費についての知識がなければ、どの程度まで保障してもらうべきなのかがわかりませんよね。ですので、このポイントが重要になって来るのです。

 治療にかかる費用は、がんの種類や進行ステージ、治療方針など、さまざまな要素で変ってくるため、一概には言えないというのが正直なところです。

 ある調査によると、平均でみると、がん治療費の自己負担額は年間で約115万円。つまりひと月に10万円弱ということです。

 がん経験のない方は実際よりも大目にがん治療費を想定する傾向があるとされていますが、皆さんの想像していた額と比べていかがでしょうか。

 それに、忘れてはいけないのが公的な医療保険です。『がん保険のカラクリ』では、「高額療養費制度」について詳しく説明しました。患者が70歳以上か未満か、また収入額によっても異なりますが、一定の限度額を超えた分は公的な健康保険により患者に払い戻される制度です。

 これは公的医療保険の柱ともいうべき制度ですが、残念ながら、その存在が広く知られているとはいいがたい。そのため、がん治療費の自己負担額が過大に見積もられているのかもしれません。

©iStock.com

 ただ、がんになる確率と同じことですが、もし、がんになった場合、自分の治療費が平均値に収まるかどうかは誰にも分かりません。

 未承認の抗がん剤や先進医療など、保険診療外の医療を望めば治療費は大きく膨らみますし、わらにもすがる思いで代替医療に多額の出費をされる人も少なくないと聞きます。

 ただし基本的な治療は保険診療として保障されています。その範囲で収まる限りは、自己負担額はある程度限定される。それを念頭においた上で、平均値に収まらない可能性をどの程度まで見積もるのか。換言すれば、どのような医療を望むのか、どこまで治療費を払うつもりがあるのか、ということです。その点を考えておく必要があるでしょう。

 また現在では、治療費だけではなく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を維持するための費用も重要になっています。がん治療の自己負担額を考える時は、こうした点も考えておきましょう。

 ここまで、がんになる確率や、治療費についての考え方を大まかに説明してきました。

「いくら支払って、どこまでを保障してもらうか」は人によって変わってくるので、唯一の回答はありません。たた、ご自身にとってのベストの答えを出すために、『がん保険のカラクリ』が少しでもお役にたてば、著者冥利につきます。

#2に続く

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