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官邸で“令和の2・26事件”勃発! 「不思議な口癖」で分かった菅首相の答弁能力は国難じゃないでしょうか

「いら立ちを抑えながら反論する場合に用いられる言い回し」

2021/03/09
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 最近の不思議な流れをご報告します。

「囲碁将棋チャンネル」取締役・菅長男の活躍のせいで、父親である菅首相のやることなすことも将棋中継みたいにみえるのです。 菅長男が同席し、高額な接待を受けた山田広報官の辞職をめぐる各紙の見出しでは「後手」とか「読み誤り」。まるで菅首相の囲碁・将棋チャンネルだ。

菅義偉首相 ©️時事通信社

「黒川隠し」が「山田隠し」に変わっただけ

 読み誤りだけではない。山田氏が辞職する直前の2月26日にはとんでもない中継もあった。

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 整理すると、本来ならこの日は緊急事態宣言の一部解除に合わせた記者会見をやる予定だった。しかし「ぶら下がり」に変更したのだ(首相官邸から出るとき途中で立ち止まって話をするというスタイル)。
 
 官邸は内閣記者会の幹事社による会見の申し入れも拒否した。記者会見の司会を務める広報官である「山田隠し」?
 
 官邸側の説明では、昨年の緊急事態宣言での関西三府県を解除した際の安倍前首相の対応が「ぶら下がり」だったことを大きな理由に挙げていた。しかし当時は東京高検検事長の賭けマージャン問題がブレイクしていたときだ。黒川隠しが山田隠しに変わっただけという前例踏襲。

「ぶら下がり」による残酷な生中継

 そんなわけで菅首相にすれば帰りがけに立ち止まって発声し、適当なところでお開きという安全な展開なはずだったが…。

 ところが菅首相の囲碁・将棋チャンネルは残酷な生中継をしてしまったのである。

 記者たちから「今日会見をやらずとも国民の協力を得られると思うか」「高額接待を受けた山田内閣広報官の問題が影響したのか」「なぜきょう記者会見を行わなかったのか?」など質問が次々に浴びせられたのだ。

山田真貴子元広報官 ©️産経新聞社

 いつもなら「一人一問」などと言う山田広報官がいない。気がついたら首相は質問と向き合わざるを得ない状態になっていた。まるで詰将棋の生中継。首相の説明の乏しさが晒されるガチな展開になってしまった。

 山田隠して菅隠さず。

 この日は歴史的な会見もどきになった。私は令和の2・26事件と名付けたい。