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「ステーキ海鮮で7万円なんて序の口」バブルの味を忘れられない“50代官僚”の接待感覚とは?

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「当日の飲食の関係でございますけれども、牛肉のステーキ、あるいは海鮮料理、等であったというふうに記憶しております」

 2月25日、菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から7万円超の接待をされた山田真貴子内閣広報官(60)は衆院予算委員会に参考人として出席した。まず山田氏は「このたびは私の総務省在職中の、国家公務員倫理法違反にあたる行為によりまして、公務員の信用を損なうことになりましたことを深く反省しております」と述べた後、東北新社側から受けた「高級接待」の実態について、冒頭のように述べた。

菅首相 ©️文藝春秋

「週刊文春」が2月11日号で報じた菅義偉首相の長男・菅正剛氏による総務省幹部への“違法接待”問題で、総務省は24日、国家公務員倫理規程違反で11人を処分。谷脇康彦総務審議官は減給3か月。武田良太総務相は3カ月分の閣僚給与を自主返納する。「飲み会を絶対に断らない女」山田内閣広報官は処分の対象とはならなかったが、月給の10分の6を自主的に返上。総務省の調査によると、菅正剛氏の勤務する東北新社が接待で負担した費用は総額60万円近くにのぼるという。批判の矛先は早々に山田氏の続投を決めた菅義偉首相の決断にも向かってきており、国会はいま「官僚の接待問題」で大きく揺れている。

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山田真貴子内閣広報官 ©️AFLO

50代以上は“蜜の味”を肌で知る最後の世代

 一般の感覚でも明らかに「まずい」と感じられる7万円もの「高額接待」になぜ山田氏は応じたのか。その「特異な金銭感覚」に批判が起こっているが、50代後半の元官僚A氏は「7万円の接待ぐらい、別に何も驚くことではない」と語る。

「私はもうずいぶん前に官僚をやめましたが、いま50代以上の官僚が若い頃は、バブルの真っただ中でした。7万円の接待なんて日常茶飯事だったんですよ。私も、週3回は高級料亭で接待を受けていましたし、私の上司は1年間週末は必ず先方のアゴアシ付きで接待ゴルフに通っていました。

 当時は民間会社も金払いが良くてね。接待の帰りにはハイヤーが用意されているのですが、それとは別に“お車代”として数万円もらうことも多かったです。お土産でもらうお菓子と一緒にお金が入っているんですよ。今となってはトンデモないことでしょうけど、当時はそれが当たり前でした。

左から、秋本情報流通行政局長,、吉田情報流通行政局長、谷脇総務審議官、山田内閣広報官 ©️AFLO

 山田内閣広報官は今回処分を受けた谷脇審議官や吉田真人総務審議官と同じく60歳、秋本芳徳前情報流通行政局長は59歳、湯本博信前大臣官房審議官は54歳など『接待』を受けて問題になった官僚は50代以上が多い。彼らは先輩世代が受けてきた“接待の蜜の味”をギリギリ肌で知っている最後の世代です。もともと、入省した頃にバブルで接待を受けることが当たり前だったので、いくら頭でダメだと分かっていても、どこかで、これぐらいいいじゃないかと、罪悪感が薄れていたのかもしれません」(同前)