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2021/03/13

親族の弁当はコンビニ? 仕出し?

 たしかに、お布施や食事代は主催する当家の状況で振れ幅が激しい。特に食事代は大変で、ベテラン担当者でも予測が外れることもある。当家の予想を大きく上回る会葬者が来ると、食事はもちろん、会場スペースは足りず、受付も混乱し、算段が大きく狂う。そして食事の金額も総額に影響を与える。

 葬儀後の火葬場で必要になるお食事を例に挙げよう。例えば家族4人だけで弔い、コンビニやスーパーの弁当(500円)にすれば2000円で済む。ところが親族30人が参列して火葬場に行き、感謝の意味を込めて3000円の仕出し弁当を振る舞えば9万円に跳ね上がる。だから食事代は、葬儀のセット価格から除外せざるを得ない。

『それでもしますか、お葬式?』第1話より ©集英社

 ゆえに大切なのは、上記4つを合わせた葬儀の総額がいくらなのか? ということだが、この部分は当家の方針が大きく関わってくる。どこまで呼ぶのかという参列者の数、お経をお願いするか、映画「おくりびと」のように納棺師にお願いするのか…。こうした条件が重なっていくと、総額はあっという間に変わる。結果、「誰もが一律この金額で出来る!」という相場になるような総額を事前に算出することが難しいのである。

「追加費用」を拒みづらい葬儀の環境

 では、なぜネットでは競うように料金の安さを前面に押し出すのか。言うまでもなく、葬儀の受注が欲しいからにほかならない。ひとたび葬儀の依頼を受けてしまえば、当家はただでさえ慣れない葬儀で心身に負担がかかっている状況。「追加費用」に疑問があったとして、当家が細かく質問をしたり、拒むのはなかなか難しいのが現実である。

©iStock.com

 ちなみにネットで格安をアピールしているのは、葬儀社よりも、葬儀代理店という事実もある。代理店に葬儀を申し込む電話があっても、仕事をするのは提携した葬儀社。代理店は手数料を取って確実に儲けるビジネスモデルだ。葬儀が儲かるビジネスなら、葬儀代理店自身が葬儀を施行すればいいのだが、それはしない。ある意味では、それが葬儀をめぐる実際のところだ。