アニメを見るにも「警戒心は持ちなさい」
ネットフリックスに向けた「バンク」の抗議は、一見無意味にも見える。というのもネットフリックスは、各国のライセンス所有者からストリーミング権を買ってサービスを行っているだけで、オーストラリアなどの外国で放映される『鬼滅』のキャラクターデザインまで修正する権利はもってないと思われるからだ。
ただ、韓国で久々に人気を博している日本のコンテンツについて抗議したことは、論争を呼ぶには効果的だった。韓国のインターネットで、鬼滅に対する「右翼論争」が再燃しているのだ。
韓国のネット民が最も多く読んでいる「オーマイニュース」の関連記事のコメント欄では、賛否の意見が拮抗した。抗議に肯定的なのは、次のようなコメントだ。
〈これは知るべきであり、知らせなければならないことだ。アニメを面白く見ても、その程度の警戒心は持ちなさい〉
〈日本はナチスの同盟国、まだ今も首相がA級戦犯に参拝する唯一の国だ〉
〈ネットフリックスの戦犯への親和的な態度が問題だ。ネットフリックスは謝罪するべきだ。2度とこのようなことが起きないように団結しなければならない〉
〈ネットフリックス、お前らも不買運動にやられたいのか〉
耳飾りを「問題にするなら見るな」という意見も
一方で、反日問題に結び付けることに「腹が立つ」との意見も多かった。
〈炭治郎の耳飾りが旭日旗に見えるなら、クモの巣も旭日旗に見えるのでは?〉
〈アニメを見ることにまで説教を持ち込むな〉
〈問題にするなら見るなよ。でも、三・一節(1919年3月1日に起きた日本植民支配抵抗運動)に映画の前売り1位だったぜ〉
韓国の若者たちが何の批判もなく日本の文化コンテンツを楽しめるほど、韓国国内の状況は甘くはないようだ。
このところ、韓国では『鬼滅』だけでなく、米ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の慰安婦論文をめぐる問題など、やたらと反日記事が目立ちはじめた。「三・一運動」が起きた3月だからか。それとも、地方選挙が近づいているからだろうか。