桑田佳祐がソロ初の配信ライブを行った。場所はジャズクラブ「Blue Note Tokyo」。この一夜限りのプレミアライブに、桑田はどのような思いを込めたのか。収録の舞台裏をレポートする。
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2月下旬、ある日の午後のこと。東京・表参道に、桑田佳祐の姿はあった。
ジャズクラブ「Blue Note Tokyo」のスタッフエントランスを潜り、地階にある施設へと軽快な足取りで降りていく。
そう、これからここでライブが執り行われるのだ。
とはいえご時節柄、聴衆を入れての通常のかたちではない。
「静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~」と題した配信ライブが、3月7日に公開となる。そのための収録である。
コロナ禍の世になって以来、サザンオールスターズは2度の無観客配信ライブを開いてきた。昨年6月と12月、会場はいずれも横浜アリーナ。
気分が沈むことの多い毎日に、ほんのすこしでも明るい兆しをもたらせたら。聴いてくれるファンはもちろんのこと、周りのスタッフや自分の気分だって鼓舞したい。そんな思いから企画されたものだ。
「オトナ」なBlue Note Tokyoでライブを敢行
自身3度目となる今回は、サザンでなくソロ名義。しかもジャズの名門として名高いライブハウスでの開催となった。この理由を本人は、「もういい加減、いいオトナになったのでね」と語る。たしかに2月26日に誕生日を迎えた桑田は、これで65歳となった。オトナの雰囲気漂うBlue Note Tokyoのステージに立つにふさわしい貫禄を、ようやく得たということか。
いやもちろんとっくにそんな「格」はあるはずで、これは照れ混じりの返しだろう。
実際のところは、こうだ。全国ツアーや観客を入れてのライブが思うように行なえなかったこの1年あまりで、ミュージシャンとしての音楽への渇望が高まった。気の置けない仲間と音を合わせる喜びを、たっぷり味わう機会がほしい!
そこでバンドの原点に立ち返るようなライブの開催が模索され、縁あってBlue Note Tokyoと出逢ったわけである。