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「都心はエンタメ空間へ」 ポスト・コロナの東京の価値を楽観視する理由

2021/03/23
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オフィスワークはデジタル化が一気に拡大する見込み

 そしてこの流れははじめこそ、ごく一部の動きであっても、今後は一気に拡大していくことが考えられるのだ。オフィスワークはその多くがデジタル化され、オフィスの机上で働くものから、ワーカーがリアルに集まって意見交換を行うようなときにだけ利用するような場に変質していくことになりそうだ。

 そうなれば、都内の多くのオフィスは余剰となることは避けられそうにない。ワーカーのかなりの部分が都心に通勤する必要がなくなれば、都心から一定の距離を置いて住むようになるだろう。時代は集中から分散へと舵を切ることになるのだ。であるならば東京の姿はどのように変貌していくのだろうか。東京の将来を展望してみよう。

 東京都心をイメージすると何が目に映ってくるだろうか。東京は緑が多い都市だと言われる。たしかに東京のど真ん中にある皇居は深い緑に覆われていて、緑が少ない大阪などとの違いが際立つ。ところが、世界の主要30都市の緑地率ランキングをみると世界の主要都市の中で東京は決して緑地が多い都市とはいえない。

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皇居 ©️iStock.com

 東京の緑地率は1人あたりわずか11平方メートルで25位。香港の105平方メートル、台北の50平方メートルには遠く及ばない。ちなみにあまり緑を感じないソウルでさえ23平方メートル、人口が多い上海でも18平方メートルだ。緑の少ない大阪はわずか5平方メートル、調査対象30都市中29位だ。

世界の都市総合ランキング、日本は「居住」で12位「環境」は…

 森記念財団では世界の主要48都市の総合調査「世界の都市総合力ランキング」を実施している。この調査は各都市を「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6つの分野から評価してスコアリングしているものである。

 この結果(2020年)をみると、東京は世界ではロンドン、ニューヨークに次いで第3位だ。ところが分野別でみれば居住で12位、環境に至っては18位と、東京は決して、住むには評価の高い都市とは言えないことがわかる。