東大合格者数36年連続1位を誇る東京・開成高校。なかでも知識への飽くなき探求を続けるクイズ研究部のツートップ、植田遥大くん(高2)と後藤弘くん(高1)に「雑学」がもつ力とは何か聞いてみました。クイズって役に立つんですか?
◆
テストでいい点取れる人より、さすがだなと思う人
――勝手な想像なんですけど、今開成で一番頭のいい人はクイズ研究部にいたりするんですか?
植田 高3の先輩に、今受験しても余裕で受かっちゃうんだろうなっていう感じの人はいます。引退されて、部員としては現役ではないんですが。
後藤 クイ研にはテストでいい点取れる人よりも、地頭(じあたま)のいい人が多いって感じがします。話し方、話題の選択がさすがだな、と思う人です。会話しているとそれがよくわかるんです。
――例えばどんな会話でわかるんですか?
後藤 話が一段飛んじゃう人が多いんです。ブルーライトカットのメガネの話をしていたら、目の病気の話にいつのまにかなっていて……。
――ん? それって地頭がいいってことなんですか?
植田 多分、後藤が言いたい「地頭がいい人」は、話が一つのことで終わらないタイプの人ってことなんだと思います。
後藤 ああ、そうかもしれません。
植田 確かに話していると、話題がコロコロ変わる人は多いかもしれないですね。
クイズをやりはじめて、子どもが苦手になった
――知識が頭から溢れ出ちゃってるんですね。何に対しても「うんちく」があるというか。
後藤 なので、どの世代の人とも話を合わせられる人が多い。僕もクイズつながりで会う大学生や、友達の親御さんといった大人の方とお話しするのは好きなほうです。
植田 ただクイズやってて困ったなと思うのは、だんだん普通の人の知識量ってどれくらいかわかんなくなってくるんですよ。だから、普通に知っていることを喋っていても、ポカンとされることがあります。あと、子どもが苦手になったんですよ、クイズやり始めてから。
――え? どういうことですか?
植田 特に小学生くらいの子どもって、何を知っていて知らないか、知識量がわかりにくいんですよ(笑)。親戚の子とか、友だちのきょうだいを相手にするにしても、こっちがこの話題なら乗ってくれるかな、と思っていても「この人何言ってんだろう」みたいに思われる場合もあるじゃないですか。だから、子どもを前にすると変に緊張してしまうんです。
――ハハハハ。じゃあ逆に年上の方が付き合いは楽?
植田 確かにそうですね!
後藤 70年代に流行った歌とか一回も聞いたことないけど、クイズで知ってて名前だけは分かるので、会話だけ成立しちゃうことがあるんです。おじいちゃん世代とかと話をしているとそういうことが起こる。
――おじいちゃん世代! まあ、知識をどんどん得ていくと、自然と古いことに詳しくなって、耳年増みたいになりますよね。
植田 開成のクイズ研究部は30年の歴史がありますので、OB会も行われるんです。先日もあって現役も参加したんですが、こういう形で年上の方と交流することも多いですね。