ここまで悲惨ではなくても、韓国の男性と結婚したあと日本に逃げ帰り、その後、鬱状態になったり対人恐怖症など精神障害を患っている二世は少なくないという。
親に勧められて、統一教会系の韓国の中高一貫校、大学、アメリカの大学に進んだ子どもは就職先がなくて困っている。二世の合同結婚式に参加した早稲田の学生は韓国の女性と結婚したが、たちまち生活費に困り、大学を中退して今は二人でバイト生活だ。このような例をあげればきりがない。
統一教会の二世の受難は今も続いている。
4年前の96年から統一教会は突如、ブラジルに日本人女性を派遣するようになった。ブラジルのジャルジンとパンタナールに広大な未開の土地を購入して神の国をつくるのだという。派遣されたのは5000人近くに及ぶ。その間、子どもは日本に置き去りで、祖父母や信者が面倒を見ている。信者の間でたらい回しにされている子どもも少なからずいる。
元幹部だった克子のところには子どもの様々な情報が入ってくる。
「Sさんは3カ月ほど中米のエルサルバドルに派遣され、最近日本に帰ってきましたが、保育所に預けていた長女はいまだ一言も言葉を発しないそうです。Iさんは南米とアメリカへ一年間行っていましたが、戻ってくると5人の子どものうち4人が視力矯正のためにメガネをかけていたので驚いたそうです。Wさんはブラジルに3カ月ほど行っていましたが、帰国したら3歳の子が赤ちゃん返りをしていて、Wさんが少しでも離れると大声で泣きながら身体中をばたつかせ、どうしようもないということです。トイレに行くときでも抱っこして入らなければならないとこぼしていた。入ってくる情報は、こんな話ばかりです」
最近、統一教会は祝福を受けただけでは罪は償われないとして、祝福一世同士が真に天国で入籍できるためには女性が韓国で3年間献身活動をしなければならないと主張し、その人選が進んでいるという。それが実行に移されれば、また多くの子が「母のいない夜」を迎えなければならなくなる。
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