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2021/03/19

自民党女性議員は「ときの体制に刃向かわない」

 しかし、こうしたことを自民党女性議員に求めるのは酷なのかもしれない。なぜならば、自民党の歴代執行部が、閣僚などの重要ポストに引き上げてきた女性議員は、田中真紀子という究極の例外を除けば、「女性としての華やかさを持ちつつも、ときの体制に刃向かわない」という都合の良い者たちばかりだからだ。

「愚か者めが!」と民主党に叫んだことくらいしか政治家としての実績がない丸川珠代氏が、なぜ環境相や五輪担当相で幾度も入閣するのか? ©文藝春秋

 野党時代に「愚か者めが!」と民主党に叫んだことくらいしか政治家としての実績がない丸川珠代が、環境相や五輪担当相で幾度も入閣するあたり、自民党執行部の女性大臣観が透けて見える。「この政策を実現したいから、この女性議員を大臣にしたのだ」こんな説明を、ときの首相から聞いたことはほぼない。

 野田聖子が30代で郵政相として初入閣した背景も、ときの権力者である野中広務や古賀誠にかわいがられていたからにすぎない。政策的な期待を背負った初入閣ではなく、男性議員ばかりの閣僚名簿のなかにおける一服の清涼剤に過ぎなかった。

小池百合子も二階を後ろ盾にするあたり…

 当代女性議員の出世頭ともいえる小池百合子も同じだ。彼女も国会議員時代には、細川護熙、小沢一郎、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三と後ろ盾を替えつつも、基本的には、ときの後ろ盾には刃向かわずに立身出世を図ってきたのだ。現在も、菅政権を批判する半面、自民党幹事長・二階俊博を自らの後ろ盾にしているあたり、根本的なビジネスモデルは変わっていない。

小池百合子氏と丸川珠代氏 ©文藝春秋

 ただ、こうしたことは自民党だけの問題ではない。野党側にも、蓮舫議員と辻元清美議員、森ゆうこ議員の不仲、森ゆうこ議員と福島みずほ議員の不仲など、主要な女性議員の間の分裂は枚挙にいとまがない。自らの党に問題が起こった時に、声をあげる姿は野党女性議員にもあまり見られない。

 もちろん、国会議員を男性、女性で分けて論じることが時代錯誤だとの指摘は甘受するつもりだ。しかしながら、女性初として、中山マサが1960年に閣僚(厚労相)に、1993年に土井たか子が衆院議長に、2000年に太田房江が知事(大阪府知事)に、2004年に扇千景が参院議長に就任し、女性の政治進出は一定程度進んだ。だが、女性首相はいまだ誕生していないのが厳然たる事実なのだ。

二階幹事長 ©文藝春秋

 もし与党のなかで、また野党のなかで女性議員が一つにまとまり、政策的な発信をすることができれば、強制的に女性議員を割り当てるという「クオータ制」など採用せずとも、国民の期待は自然と女性議員に向くのではないか。

 女性政策を語るとき、議員のクオータ制が論じられるあたり、女性議員は自らその力不足を恥じるべきだ。「自らの価値が低いので、下駄をはかせてもらえませんか」と自白しているようなものだからだ。女性議員へのエールを込めて、あえてその点を指摘したい。(敬称略)

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