英王室激震は「対岸の火事」ではない
たった1人の暴露に、英王室が根幹から揺るがされている。王室から離脱したメーガン妃が、王室のメンバーから人種差別発言をされたと米テレビ番組で暴露したのだ。米大統領選出馬への意欲もあるとされるメーガン妃。様々なバッシングを受けてきた妃の鮮やかな逆転劇は、なぜここまでの成功を収めたのか。その緻密な戦略は、結婚問題で揺れる日本の皇室、特に小室圭さんには良くも悪くも大きな示唆を与えそうだ。
乾坤一擲だった。「生まれてくる子の肌の色はどれぐらい濃いだろうか」。王室のメンバーにそう長男のアーチー君の肌の色に懸念を示され、「称号も警護も与えられないだろう」と将来、王室のメンバーに入れない可能性を示唆されたと暴露したことで、メーガン妃は旧弊著しい英王室に虐げられたリベラル派の旗手として特に北米で祭り上げられつつある。
メーガン妃は米国出身の元女優で、父親は白人、母親は黒人。映画プロデューサーとの結婚・離婚を経て2018年にイギリスのエリザベス女王の孫のヘンリー王子と結婚し、英王室が初めて黒人のメンバーを加えたとして話題になった。
だが、その後は英タブロイド紙の洗礼を受け、出産に伴う邸宅の改修で240万ポンド(3億6000万円相当)をかけたりしたことが暴かれ、さまざまなバッシングを受けてきた。20年には王室から離脱。移住先のカナダの政府が警備費用を持っていたことに反発が広がるなど、世間の評価は割れていたといっていいだろう。
司会者に強いられて打ち明ける、という筋書き
そのメーガン妃に反感を持っていた人までも味方につけた、あるいは控えめに言っても反論できないようにした、のが今回の暴露劇だった。舞台設定、配役、台詞回し。女優として必ずしも一流とは言えなかったメーガン妃だが、今回の暴露劇ではプロデューサー、演出家、女優として完璧な役回りを演じきっていた。
まずは舞台設定だ。今回、暴露劇の劇場として選ばれたのは米国の黒人司会者オプラ・ウィンフリーの番組。オプラはリベラル派のメディア人として米国で知らぬ者はいない。民主党の大統領候補に擬せられたこともある。そして、率先して暴露するというよりは、オプラに強いられて打ち明ける、という筋書きも同情を誘うに足りる。
真に寒気がしたのは、台詞だ。ウィンフリーが「肌の色が濃すぎると問題になるという懸念があったということか」という質問を呼び水に、メーガン妃は「なぜなのか追及できなかったが、そう考えて大きく外れていないと思う」と答えた。
「生まれてくる子の肌の色はどれぐらい濃いだろうか」という匿名の王室メンバーの発言と、「称号も警護も与えられないだろう」という発言の2つを結びつけたのだ。長男の称号問題を人種差別発言とリンクさせたわけだが、それは、実は、意図的にある事実に目をつむらないとできない。そこに、メーガン妃の戦略の核心がある。