「余命3カ月の宣告を受け、本当はここにいないはずでしたが、まだ生きています」

大林宣彦(映画作家) ©文藝春秋

 映画『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』などで知られる大林宣彦監督は、昨年8月、最新作『花筐/HANAGATAMI』のクランクイン直前、ロケ地・佐賀県にある唐津赤十字病院で「肺がんの第4期で余命半年」と宣告された。

 しかし自覚症状がまるで無かったこともあり、スタッフ・俳優陣にも病気を打ち明けた上で、そのまま撮影をスタート。2日間ほど徹夜で仕事をし、再度病院で検査を受けると衝撃的な返事が返ってきた。

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「余命3カ月です」

 驚いた大林監督が「え? たった2日で3カ月減るの?」と言うと、医師は「がんというのは倍々ゲームなんです。これからどんどん加速して、ほうっておいたら『あと数日』になりますよ」と答えたという。

 その後紹介された担当医は、すぐに入院するように勧めた。

 だが『花筐』は大林監督が40年以上前に、劇場用映画第1作目として撮ろうと考えていたが実現せぬまま月日が流れ、今回ようやく実現することになった作品である。撮影を諦めたくない大林監督は、担当医を説得し、すぐに現場にとんぼ返りしてしまう。

 そして2カ月後――無事に映画はクランクアップ。宣告されていた「余命」を越えて1年近くがたったいまも、がん治療は続けながら、大林監督は元気に映画の仕事を続け、『花筐』も12月16日から公開予定だ。

最新作『花筐』のロケで ©大林千茱萸/PSC

 なぜこんな奇跡的な回復が訪れたのか。

 大林監督が余命宣告を乗り越えた過程と、新作『花筐』に込めた思い、そして先輩の黒澤明や小津安二郎らから受け継いだという映画界への“遺言”を150分にわたって語った貴重なインタビュー。全文は「文藝春秋」11月号に掲載されている。

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