大阪市住吉区の、一軒家やマンションが建ち並ぶ閑静な住宅街。20分ほど歩けば、全国でも有数の人出を誇る住吉大社がある。どこにでもありそうな住宅街だが、この地で前代未聞のある不気味なトラブルが起きているのだ——。

 トラブルの渦中にあるのは、地区の中心に建つ一軒家。今時珍しい瓦ぶきの古風な家で、周囲は人の背丈ほどの塀に囲われている。地元関係者の1人が語る。

※写真はイメージです ©iStock.com

「時には庭先に遺体が置かれていたことも」

「ここには普段誰も住んでいなくて、しばらく空き家やってん。それがな、近くの住民が言うには、ある日、黒塗りの車が家の前にやってきてスーッと停まったんやて。それで何かをストレッチャーに乗せて、家に運び込んでいたと。ストレッチャーには白い布が被せられていたらしいんやけど、それが人の形をしていたもんやからえらいびっくりして! あ、これは遺体を運んでいるんやなとピンときたらしいねん」

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 一体、何が起きていたのか。全国紙の社会部記者が解説する。

「2年程まえにこの住宅に住んでいた方がいなくなり、その後に民泊として届けが出されているんです。経営者は50代の外国人男性で、しばらくは旅行客向けの民泊として貸し出していました。しかし新型コロナの影響で外国人観光客が激減。困った男性が、葬儀が行われるまでの間に遺体を一時保管する場所として提供するようになったといいます」

トラブルが起きた大阪の一軒家

 経営者の男性が遺体の受け入れを開始したのは2020年12月頃。1カ月に2体から3体ほど遺体を受け入れていたというが、程なくして、事態を察知した住民から「怖い」などの声が相次いだのだ。

「家の前には大きいドライアイスの箱が置かれていてね。時には庭先に遺体が置かれていたこともあって、外からも見える状態やったみたいやねん。数日間、民家の中に遺体が放置されていることもあったようで、正直、気持ちがいいものではないわな」(前出・地元関係者)

 そして今年1月、近隣住民から区役所に「民泊で遺体を安置している」という苦情が寄せられる事態に発展したというわけだ。区役所でも対応を検討したというが、遺体の一時預かりを規制する法律などはなく、民泊事業をめぐる法令にも違反していないという。

「法律や条例の規制がないため、最終的には、当事者同士の話し合いで解決するほかないのが実態です。民泊を経営する男性は、『普段は棺桶やドライアイスを販売していた。葬儀業者から遺体を一時的に預かって、棺桶に納めてドライアイスを入れることはあったが、悪いことはしていない』と説明しています。一方で、『住宅が売れるまでは、遺体の搬入は続けたい』とも話していたのですが、近隣住民からの反発を受けて預かりを中止することにしたようです」(前出・社会部記者)