便はどんどん「硬くなる」
直腸で長期滞在する便は、どんどん水分を吸収されるので硬くなっていく。便の塊が肛門の直径よりも大きな状態のまま固まれば、当然排泄は困難になる。
「下剤や座薬、浣腸などで対処することになりますが、それでも出ないときは“摘便”といって、看護師さんが指で掻き出すことになります」
できることならこれは回避したい。しかし、放置すれば便はたまり続け、お腹は膨らみ、いずれ嘔気、嘔吐、頭痛などの症状に苦しむことになる。
でも、なるべくなら摘便は避けたい……。
免疫強化にもつながる便秘対策
器質性便秘でないことが確認されれば、下剤などで排便を促すことになるのだが、その前に自分でできることもある。
「まずは運動。コロナ禍での運動不足を解消するだけでも腸の運動性を高めてくれます。また、お風呂などでおなかを温めることも便意創出に有効です」
そのうえで、繊維質の多い食品を積極的に摂ることも重要だ。
「食物繊維は便の嵩を増してくれるので、便の通りをよくしてくれます。もちろん腸内環境を整える意味で、乳酸菌やビフィズス菌なども摂っておいたほうがいいでしょう。腸内環境の改善は便秘だけでなく、免疫強化にもつながります。コロナ禍において、その取り組みは便秘対策だけに留まらない重要なものなのです」
もう一つ、ぜひ試してほしいことがある。それは食後、特に朝食後にトイレに行って座ること。
最初は無反応かもしれない。それでも毎日「出す姿勢」をアピールすることで、思いが伝わることはある。
人間の体は“習慣”になびくところがあるので、毎日同じ時刻にトイレに座ることを繰り返していれば、いずれ腸のほうも「しょうがないなぁ……」と態度を軟化させるはずだ。
繰り返すが、便秘を甘く見ると痛い目に遭う。
背後に重大疾患が潜んでいる危険性もあるわけだし、ここはひとつ、“腸の声”に耳を傾けてみてはどうでしょう。
そして、深刻化してしまった関係諸器官との「フン争」を、早期に解決すべきなのです。