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難聴、ストレス、コロナ後遺症…原因は様々な「耳鳴り」 “命に関わるもの”の見分け方

2021/01/30

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症が、きわめて多岐にわたることが見えてきた。せきやだるさ、息苦しさや集中力の低下、嗅覚・味覚障害など様々だが、耳鼻咽喉科医の間で話題に上っている後遺症に「耳鳴り」がある。コロナがなぜ耳鳴りを引き起こすのか、そして治療法はあるのかを、耳の専門家に聞いた。

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なぜ耳鳴りが起こるのか

 耳鳴りにはいくつもの種類があって、聞こえる音もさまざま。そんな中でコロナ感染症の後遺症として多いとされるのは「キーン」や「ジー」という音。

 そもそもなぜ耳鳴りという症状が起きるのか。東京・港区にある「南青山みみのクリニック」院長で順天堂大学医学部耳鼻咽喉科非常勤講師の山川卓也医師に解説してもらう。

「耳の血流に障害が起きて、聴覚神経が部分的に障害を受けることが大きな原因の一つ。それによって聴力が低下する一方、脳が過敏になって、実際には鳴っていない音があたかも鳴っているかのように感じられるのです」

「自分を安心させるために、実際には鳴っていない音を脳の中で鳴らしている」

 特に難聴の傾向がある人や耳の遠い高齢者は耳鳴りを起こしやすいという。

「正常な聴力の人でも、完全な防音室や雪国の“かまくら”に入った時のように無音状態に身を置くと、『ゴーッ』という耳鳴りを感じるものです。これは“静かすぎる状態”に置かれたことで、脳が持っている“周囲の音と自分の聴覚のバランスを取る機能”が不安定になって起きる現象。そこに生まれる不安感を打ち消し、聴覚を安定させるために、実際には鳴っていない音を脳の中で作り出してしまうのが耳鳴りで、別名“聴覚過敏症”とも言われます。難聴の人は周囲の音が聞こえにくいので、入ってくる音を補完するため過敏性が高まっていて耳鳴りが生じやすい。逆に難聴の人でも補聴器を付けて聴力が回復すると、耳鳴りも消えることが珍しくありません」(山川医師、以下同)