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なぜ耳鳴りが「コロナ後遺症」に?

 ではなぜ、「コロナ後遺症」として耳鳴りが起きるのだろう。

「コロナウイルスが血栓を作ることが分かっています。そのため耳の血管でも血流を阻害する作用をして血流低下を招いているのだと思われます。コロナ後遺症として難聴がおきることも指摘されていますが、印象としては耳鳴りのほうが発症頻度は高い。今後の精査が待たれます」

山川卓也医師

 ならば発熱や呼吸苦など、新型コロナ感染症の症状が出ている時に耳鳴りも起きておかしくないと思うのだが……。

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「おそらく起きていると思います。正確な発症のタイミングはわかりませんが、その時点では耳鳴りに意識が向かないだけなのかもしれない。人間の脳は、その時点で苦痛の大きなものから順に認識していくので、耳鳴りのような地味な症状は後回しにされます。結果として苦痛を伴う様々な症状が治まった末に気付くから“後遺症”となるのです」

 ちなみに新型コロナ感染症の特徴的な症状として嗅覚障害や味覚障害も挙げられるが、これらは発熱や呼吸苦など“苦痛を伴う症状”の前に出ることが多いので気付きやすい。耳鳴りはそれより症状が出るのが遅いか、ニオイや味の感覚がないという“珍しい症状”の陰に隠れてしまっている可能性はあるという。

画一的な治療では簡単に改善しない

 しかし、地味とはいえ耳鳴りが不快な症状であることは事実だ。これが気になって不眠になったり、集中力が落ちて仕事に影響する人もいる。耳鳴りという症状を訴えて耳鼻咽喉科を受診すると、どんな検査が待っているのだろう。

「まず一般的な聴力検査を行い、さらに聴覚神経の状態を調べる内耳機能検査をする。並行して日常生活での支障度を評価することもある。一方、聴力検査で“異常なし”となった場合は、メンタル的なアプローチをして、神経症やうつ症状の有無をチェックすることになります」

 耳鳴りの原因は多岐にわたり、対応策もさまざま。画一的な治療では簡単に改善しないことが多く、オーダーメードの治療が求められることも少なくない。

©iStock.com

 難聴を原因とする耳鳴りは、まず難聴の治療が必要となる。突発性難聴のように早期治療で改善する難聴もあるが、内耳の組織は再生しないので、加齢性難聴や騒音性難聴は簡単には治らない。

 しかし、聴力は回復しなくても、耳鳴りを軽減させることはできるし、補聴器で聴力をある程度戻すことができれば、耳鳴りも治まる可能性はある。