日経平均株価が約30年ぶりに3万円台を突破した。バブル期以来の高値に市場は沸き、さらなる上昇を期待する声もある。だが、日経平均上昇の理由は、個々の企業の業績がいいからとか、日本の経営者が優れているからだとは誰も思っていない。コロナ対策のために、世界各国が大盤振る舞いで政策投資と経済対策をやり、中央銀行が市場にお金をばらまいたからだ。東京市場にもだぶついたお金が相当流れ込んで株価が急回復した。
そういう事情だから、株価が上昇したのは東京だけではない。ニューヨークもフランクフルトも最高値を更新、香港も上海も上昇トレンドにあり、ほぼ全世界の株価が上昇している。
だが、個別の銘柄に強い、弱いがあるように、各国の株式市場にも長期的に見ると、強い市場、弱い市場があるという。この市場の「力の差」の重要性を指摘するのは、日本マイクロソフトで社長を務めた後、投資コンサルティング会社を経営する成毛眞氏だ。
そもそも日本株が30年も低迷していた理由
日本株が30年にわたって低迷を続けた背景には、東京市場が抱える弱みがあるとして、次のように指摘する。
「日本株が圧倒的に不利なのが市場の大きさです。
例えばアメリカであれば、『GAFA』の株に、世界中の個人投資家が群がっています。インド人も、中国人も、ベトナム人も、最近はアフリカの人々もお金を持っていて、英語がわかる人はみんな米国株を買っている。世界中の人が売買してみんなで株価を押し上げているのです。
これに対して日本の場合、どんなに技術力があって有望な会社であっても、これを買うのは日本の個人投資家か、外国人の機関投資家に限られます。つまり米国株と比べると、日本株はそもそも市場参加者がメチャクチャ少ない。これは株価に決定的な影響を及ぼします」
「市場の大きさ」が株価に決定的な影響を与えるという話はあまり聞かない。成毛氏が譬えとして持ち出したのは、地方の市場と豊洲市場の差だ。