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「夕方から飲み始め、店を出たのは朝10時」志村けんをリムジンで待ち続けた運転手だけが知る“ナゾの17時間”

『我が師・志村けん 僕が「笑いの王様」から学んだこと』#6

朝4時になっても志村さんが店を出てこない!

 ある日の夕方のことです。

 志村さんを飲み会の会場まで送りました。今しがた書いたとおり、スタートは夕方ですから「今日は早めに帰れるかな」と少し期待していたのですが、夜12時になっても志村さんは戻ってきません。

志村けんさん ©️文藝春秋

「今日も2時3時までか……」

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 そう思いましたが、朝4時になっても志村さんは出てきません。スタートから10時間もたっていますから、さすがに不安になりました。

「もうタクシーで帰っちゃったのかな」

 そうも思いました。しかし、僕はずっとお店の前にいましたから、見逃すはずはありません。といって、まさかお店に入って確認することもできず、ひたすら待ちました。

 志村さんが出てきたのは、なんと朝10時。実に17時間もお店にいたのです。どうやら酔って眠ってしまったようで、ひたすら飲んでいたわけではなかったのですが、これが僕の飲み待ち最長記録です。

東村山駅前に設置されていた志村けんさんの献花台 ©️文藝春秋

「付き人」同士の付き合いもある

 志村さんと芸能人の方が飲んでいるときは、お相手のお弟子さん、付き人の方もお店の近くに車を停め、飲み待ちをします。そんなとき、付き人同士で話をすることもよくありました。

 やがて僕は笑福亭笑瓶さんの弟子の笑助くん、ヒロミさんの付き人の椿知洋さんと仲良くなりました。笑瓶さんやヒロミさんが六本木にいて、志村さんも六本木で飲んでいる――というときは笑助くんや椿さんのところに行って、

「うちの師匠は……」

 なんて互いに愚痴ったり、雑談で盛り上がったりしていたのです。(はじめから読む/ #1

我が師・志村けん 僕が「笑いの王様」から学んだこと

乾き亭 げそ太郎

集英社インターナショナル

2021年2月26日 発売

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

「夕方から飲み始め、店を出たのは朝10時」志村けんをリムジンで待ち続けた運転手だけが知る“ナゾの17時間”

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