温泉や銭湯などで、子どもは異性の浴場に何歳まで入れるだろうか。新型コロナウイルス感染症の影響で、東京2020オリンピックでは海外からの旅行客を入場させない方針を決定。とはいえ日本の入浴文化に戸惑う海外旅行客も多いだろう。子どもの混浴の年齢制限をどう考えるべきか、温泉学会理事の竹村和花さんに聞いた。
地域の文化的背景で混浴の認識が変わる
「公衆浴場に異性の子どもが現れるとドキッとする。未就学児と一目でわかる年齢であればかわいらしく感じますが、体格が大きな子どもだとひっかかりは感じる」
そう話すのは都内在住の30代女性。一方、兵庫県で男児2名を育てる30代女性は「公衆浴場では長男を夫が、次男を私が連れて入ります。貸切風呂を借りればいいのかもしれませんが、別料金を支払うのは経済的に選べない」という意見も。
温泉学会理事の竹村和花さんは、混浴の認識の違いについて、「育ってきた地域の文化的背景で変わってくる」と指摘します。
「昔から湯治場があった温泉地や地方創生で新しく作られた温泉地、さらには温泉の文化があまり根付いていない地域の出身では混浴に対する認識は変わってきます。
昔の日本には家に風呂がなく、公衆浴場での年齢制限のない混浴文化がありました。現在は家に風呂があるのが一般的で、混浴は減りましたよね。
数年前には混浴の公衆浴場で女性の入浴待ちをする男性客『ワニ族』が問題になったこともあります。結果、岡山県の湯原温泉では湯浴み着のレンタルを進めることで、治安管理に努めるようになりました。これ以外にも、注意しても改善に至らなかったため公衆浴場を廃業したり、地域と外部の利用客で浴場を分けて運営したりする地域があります」(竹村さん)