家族風呂で子どもを守る姿勢を考える
公衆浴場法施行条例により混浴の年齢制限が定められているとはいえ、年齢の割に体格が大きな子どもや、障がいなどを理由に介助が必要な子どもが異性の浴場に入浴する場面もあるでしょう。
「小学校高学年は第二次性徴で体に変化が生じる頃。体にタオルを巻く方法も一つですが、湯船にタオルをつけるのは衛生面の観点から懸念があり、禁止している公衆浴場が多いです。また、排水溝にタオルが絡まり事故につながる恐れがあるため、注意が必要。利用客からは、『子どもがタオルを巻いているほうが大人っぽく見える』と指摘する声もあります。
気になる方は貸切風呂を選ぶのもいいでしょう。幼い子どもも人目を気にせずに入浴できると思います」(上部同)
貸切風呂は2010年頃から脚光をあびるようになりました。風呂付客室など贅沢志向の人気から火が付き、日帰り温泉でも利用できるようになっていったのです。
また、タトゥーを理由に公衆浴場に入れない人も貸切風呂を利用することがあると言います。
「周囲にタトゥーを見せないと約束したうえで、タトゥーを入れた人が貸切風呂を利用することもあるようです。
私は温泉好きが高じてスーパー銭湯に勤務した経験があるのですが、タトゥーを入れたお客さんの利用はお断りしていました。見かけたらお引き取りをお願いするよう指導されていましたし、入り口にも注意書きを掲載していました。声をかけると、納得して帰宅してくださる方がほとんどでした」(上部同)
タトゥーと言えば、海外旅行客が入れていることも多い。アフターコロナでは、海外旅行客が増える可能性も考えられます。
「言葉と文化の違いから、タトゥーを入れた海外旅行客に公衆浴場に入れない理由を伝えるのは困難です。そういう場合は返ってくる言葉で周囲の利用客に外国人客だと伝わることを重視していました。外国人客だと分かれば他の利用客は『外国人は文化が違うから仕方がない』と納得する雰囲気があります。
グローバルな時代に突入し、タトゥーをオシャレとして認知する若者も増えてきました。日本の入浴文化も今後は変わる可能性があると思います」(上部同)