混浴は自分を守る意識と文化のバランスが大事
公衆浴場を利用する際は、どの地域でもトラブルが起きる可能性がゼロではないことを認識する必要があります。「遅い時間帯の利用は控える」など、自分を守る行動が大切です。
「子どもが混浴をする上で最初に懸念されるのが、性の対象として見られて事件に巻き込まれることでしょう。性の在り方は多様化しているとはいえ、できるだけ同性の浴場に入浴するのがいいのかもしれませんね。
公衆浴場では母親が子どもを連れているイメージが先行しがちですが、父親も子育てに関わっていくべきです。体の洗い方や入浴のマナーを教えるのも保護者の役割。同性だからこそわかる細かな配慮もあるのではないでしょうか」(上部同)
公衆浴場でのトラブルは、施設運営側に管理が求められることも多い。とはいえ、ワニ族のように注意しても対応が難しい場合や、管理のための資金が足りない経営者がいるのも現状です。
注意しても聞かない利用客がいた場合には、「最終的には公衆浴場法施行条例が一つの判断基準になる」と竹村さんは言います。
「一方で、浴場の視点で考えると、混浴文化が廃れるのは残念ではあります。自分を守ることと文化のバランスを考えるのが大切ではないでしょうか」(上部同)
入浴は無防備な状態で人と接する場。都市部や地方からの利用客、海外旅行客が入り交じるなかで、100%安全に利用できるという考え方は難しくなっているのかもしれません。
竹村和花/イタリア在住(現在一時帰国中)。温泉研究家(温泉学会理事)、イタリア・フィレンツェ大学法学部にて温泉と環境をテーマに比較法を研究中。