私が運営している事故物件の情報サイト「大島てる」には、そこが事故物件であることを示す“炎アイコン”が無数にマッピングされています。
人口の多い街や、環境的に事件・事故が起こりやすい繁華街などには特に“炎”が密集していますが、「炎アイコン1つにつき、自殺や殺人などによる死者が1人いる」と捉えるのは、実は正しくありません。そこで、今回は少し独特な「事故物件の数え方」についてお話ししましょう。(全2回の1回目/後編に続く)
そもそも事故物件とは?
そもそも不動産業者には「告知義務」というものが課されています。これは宅建業法で定められた義務の一つで、借り主(買い主)にとって心理的瑕疵となる事項がその物件にある場合、貸し主(売り主)は必ずそれを事前に告知しなければならない、というものです。
この決まりがあるため、前の入居者がそこで自殺していたり、あるいはその部屋が殺人事件の現場になっていたとしたら、業者は契約が成立する前に、その旨を伝えなければなりません。しかし、なかにはそうした事実を隠して部屋を貸し出したり、売り出したりする酷い業者がいるため、その被害を防ぐために私は「大島てる」を作りました。
この部屋ではAさんが殺された、あの一軒家ではBさんが孤独死した……といった過去があれば、それらは紛れもなく事故物件です。ただ、ときには一つの死体が複数の事故物件を生み出すこともあるのです。
コインロッカーに捨てられた遺体
たとえば、死体が移動した場合――。そうしたケースで特に印象深いのは、横浜のとあるマンションです。きっかけは、同じく横浜市内の駐車場に設置されていたコインロッカーから、赤ちゃんの遺体が発見されたことでした。