私が運営している事故物件の情報サイト「大島てる」には、そこが事故物件であることを示す“炎アイコン”が無数にマッピングされています。しかし、事故物件の数え方は少し独特で、「一つの遺体が複数の事故物件を生む」こともあります。

 前回はその一例として、死体が移動した場合についてお話ししました。今回はもう一つのケースである「バラバラ殺人事件」にまつわる、ちょっと奇妙な実例をご紹介しましょう。(全2回の2回目/前編から続く

西新宿で見つかった男性の切断遺体

 バラバラ殺人事件と聞くと、猟奇的な犯人が歪んだ欲望を満たすために死体を切り刻む……といった光景を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、実際の事件を調べてみると、遺体を切断した犯人は案外“普通”の人が多いことに気づきます。

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 例えば15年前に東京の西新宿などでビニール袋に入った男性の切断遺体が見つかった事件では、当初、テレビ番組のコメンテーターなどがこぞって「これは暴力団や外国のマフィア組織など、凶悪犯罪に手慣れた者による犯行だ」と“分析”していました。

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 しかし、後に逮捕されたのはその男性の妻である30代の女で、暴力団関係者でも、もちろん外国マフィアの一員でもありませんでした。

なぜバラバラ殺人事件が起きるのか?

 そもそも、人間の遺体を運ぶのは非常に腕力のいる作業であり、犯人が女1人である場合、証拠隠滅どころか現場から動かすだけでもかなり苦労します。そうしたとき、とにかく持ち運べる大きさにするために遺体を切断する……といったケースが多いのです。

 この事件では、犯人の女は証拠隠滅を図るために遺体をバラバラにして、キャリーケースやバッグに入れて移動。道路や公園、空き家の庭先などに切断遺体を捨てていました。