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“頭部のない白骨死体”が見つかった物件
前回もご説明した通り、不動産取引の対象にならない道路や公園は事故物件になりませんが、遺体が捨てられていた空き家や、そもそもの殺害現場である夫婦の自宅は事故物件になってしまいました。このようにバラバラ殺人事件が起きた場合には、たとえ亡くなった人は1人でも、事故物件が2つ、3つと増えてしまうことがあるのです。
ただ、「どの程度の切断遺体が見つかれば、そこが事故物件になるのか」というのは、難しい問題でもあります。実際、頭部がない白骨死体が見つかった物件を「大島てる」に載せたところ、その物件の所有者から苦情が来たことがあります。
その物件所有者の主張の中に、「見つかった死体は頭部がなかったのだから、100%の事故物件とは言えない」というものがあり、私は「何を言っているんだろう」と驚きました。
ただ、もう少し話を変えて考えてみると、その物件所有者の感覚もちょっとわかる部分はあります。
事故物件の線引きは意外と難題
例えば「遺体の指が1本だけ見つかった物件」を事故物件とするのか、あるいは「粉々になった遺体の骨が撒かれた物件」を事故物件にするのか……などと考えていくと、この問題に明確な基準などないことがわかります。
これはある種神学的な話で、私にも答えはありません。ただ、「心理的瑕疵」と「告知義務」という原点から考えれば、最終的には「何を以って消費者が気持ち悪がるか」という話に尽きると思います。