父親を殺した20代の男
射殺事件といっても暴力団の抗争などではなく、銃の所持許可を取得していた20代の男が散弾銃で父親を殺害したという、家庭内の事件でした。殺害後、男はネットで購入した棺桶に父親を入れ、母親とともに車で四国に移動。
一方、すぐに事件の捜査を始めた警察は、香川県内の高速道路を走っている2人の車を発見し、追跡しました。結局、2人が高速道路を降りてコンビニの駐車場に車を停めたところで、警察は職務質問。そのまま逮捕となりました。
このケースでも、父親が殺害されたタワーマンションの部屋と、遺体が発見されたコンビニの2つは、事故物件になってしまいました。
ちなみに、移動中に通った道路は事故物件にならないのか、と思われる方もいるかもしれません。しかし、事故物件とはあくまで不動産取引における「心理的瑕疵」のある物件を指しているため、一般の不動産取引の対象とならない高速道路などは、そこでどんな残虐な殺人事件が起きようとも、事故物件にはならないのです。
「死体の移動」にまつわる不思議な話
こうした「死体の移動」で不思議なのは、例えばAというマンションで殺害し、Bというマンションに遺体を隠す……といったとき、事件の詳細を追ってみると、なぜかAもBも同じ部屋番号であることが少なくない、ということです。
これは私も納得のいく、合理的な説明を見つけられていないのですが、殺害現場と死体遺棄現場は別々のマンションなのになぜか部屋番号だけ全く同じ、といった事例はいくつもあります。単なる偶然にしては、確率が高すぎるように思えてならないのですが……。
さて、ここまで「一つの遺体が複数の事故物件を生む」事例として、「死体の移動」についてお話ししてきました。次はもう一つのケース――しばしば“猟奇的”とも評されるバラバラ殺人事件にまつわる事故物件についてご紹介しましょう。
(後編に続く)