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「卒業するのは簡単な作業ではなかった」

「ハーバード大出身のメジャーリーガーは20年ぶりと聞いた。それは誇らしいことだった。もちろん卒業するのは簡単な作業ではなかったけどね。大学は入るよりも卒業の方が難しい。シーズンが終わってもう一回、卒業に向けて勉強をするのは非常に大変な作業だった。簡単には卒業をさせてもらえない。一つ一つ丁寧にしっかりとやるしかなかった。非常にタフな日々だったけど卒業出来て誇らしい。ただ今、あまり経済学は生きていないけどね(笑)。その点は高い学費を払ってくれた親には申し訳なく思うよ」と当時を振り返り笑う。

 メジャーでは通算109試合に出場し5勝3敗1セーブで防御率4.72。そして2017年シーズンから日本に舞台を移してプレーをすることになる。イーグルスに入団をすると3年間で153試合に登板。貴重なセットアッパーとして活躍をすると20年にマリーンズに移籍。1年目は38試合に登板をして3勝23ホールドで防御率2.15。チームの2位躍進に大きく貢献をした。ハーバード大学出身で日本でプレーをした外国人選手は1954年に高橋ユニオンズにわずか数か月所属したジム・ドゥール(10試合に登板。3勝3敗 防御率2.45)以来、2人目である。

「野球の力に感謝をしている。ハワイに行けたのもメジャーに行けたのも野球のおかげ。そして今はこうして日本に来ている。異国の地での生活、環境の違い、野球の違いは本当に興味深く私の人生にとって、とてもエキサイティングなことだ」とハーマン。

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 つねに冷静沈着なナイスガイ。ブルペンでも「そ~だね!」などと日本語を披露し周囲を和ませ、若い選手たちにアドバイスをするなどマリーンズ投手陣の精神的支柱ともなっている。そんなハーマンは「沢山投げて、マリーンズで日本一になりたい。日本でチャンピオンを経験したい」と話す。遠い将来の夢も温めている。プロスポーツチームにフロント入りしビジネスの側面で活躍することだ。その時はハーバード大学で学んだ経済学を生かしたいと思っている。ただ、もちろんそれはまだまだ先のこと。今は日本で活躍をしてマリーンズでの日本一を経験することに専念をしている。「野球の力に感謝をしている」と口癖のように言うハーマン。この先にも野球の力による沢山の幸せな経験が待っているはずだ。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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