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細川、馬原、寺原……ホークスOBが7名! 火の国vs琉球に見たもの

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/04/15
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「勝ったり負けたりを繰り返すチームと、何年も勝ち続けるチームには『当たり前』に違いがある」

 昨年までの11年間で7度も日本一に輝いているホークス。まさしく黄金期真っ只中だ。そのチームを経験した選手やコーチが、この両チームのようにホークスを離れて指導者としてユニフォームを着ているケースがここ最近の球界の潮流だ。強いチームの系譜を取り込もうとするのは昔も同じ。巨人V9戦士も西武黄金期メンバーもやはり様々なユニフォームを着て野球界に貢献してきた。それを今、担っているのがホークスだ。

 細川監督にそれについてどう考えるか訊ねてみた。

「去年まで19年間現役をやって、最初に9年間所属した西武で僕は基礎を作ってもらった。それから6年間プレーしたソフトバンクで応用を教えてもらい、勝つことで自信もつけさせてもらいました。

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 西武とソフトバンクで何度も優勝を経験したし、両チームとも安定して勝ち続けるチームでした。ずっと強いチームというのは、言い方が悪いかもしれないけど選手が自分のことを『まだヘタクソ』と思っているんです。だから上手くなりたいと必死に練習もする。僕はそれが当たり前だと思ってずっとやってきたから、何の不思議もなかった。

 だけど、その後プレーした楽天やロッテは少し違って見えたんです。最後にいたロッテでも、若手を見ていて勿体ないと感じることがありました。少し前でもファームに福浦(和也)さんという素晴らしいお手本がいて、あれだけの選手が年齢を重ねても下半身を使ったティー打撃をするなど、何とかしてやろうと常にあらゆる工夫をされていた。それを近くで見ているはずなのに若い選手たちは何となく打ったり、一喜一憂したりしていた。

 勝ったり負けたりを繰り返すチームと、何年も勝ち続けるチームには『当たり前』に違いがあるのかなと感じます。僕も楽天やロッテでは年齢もかなり上だったから、若手に話をしましたけど。その『当たり前』を知っているのは指導者で呼ばれる理由の一つかもしれません」

 今のプロ野球で、ホークスOBの指導者が多いチームといえば千葉ロッテマリーンズ。昨シーズンのメンバーに加えて今年からは森脇浩司野手総合兼内野守備コーチも加わった。さらにさらに、当初は今春キャンプの序盤限定(石垣島まで)だった松中信彦臨時打撃コーチがあれよあれよという間に期間延長になり、今季公式戦でもその役割を担うことが発表されている。

細川亨監督 ©田尻耕太郎

 また、パ・リーグではオリックス・バファローズも結構多く、高山郁夫投手コーチをはじめ今シーズンから山崎勝己バッテリーコーチ、入来祐作投手コーチも入閣している。

 セ・リーグも読売ジャイアンツの杉内俊哉一軍投手コーチ、横浜DeNAベイスターズの藤岡好明二軍投手コーチ、そして東京ヤクルトスワローズの尾花高夫二軍投手チーフコーチもかつては王貞治監督の参謀役だった。

 ホークスが築き上げてきた「最強のメソッド」があらゆる場所で受け継がれている。ライバルたちは力をつけるだろう。ならば、ホークスだって今以上に強くなればいい。この好循環の先にある未来の野球は、果たしてどのような新しい発展を遂げるのだろうか。

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