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――(笑)。人間ドラマで言いますと、中盤以降展開される「王政編」は巨人があまり出てこず、人間ドラマの駆け引きがメインでした。

板倉 あのへんは、ダレるって言ってる人もいましたけど、僕すごい好きなんですよ! このパートの敵対者として登場するケニー一派が使う対人立体機動装置に対して、対巨人用の立体機動装置を持つ主人公たちが苦戦を強いられるところとかリアルだし。

――ちなみに『アメトーーク!』の「進撃の巨人芸人」ではアンガールズの田中卓志さんが、「王政編」で離脱されたとおっしゃっていましたが……。

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板倉 だから、その程度の感性なんですよ、あの人は(笑)。いや、真面目な話、「王政編」は壁の中で暮らしていたらいずれ起こりうる戦いを描いているんで、「全然巨人でてこねぇじゃん」みたいな感覚は読んでいて全くなかったですね。

 

ビギナーに注目してもらいたい、板倉さんオススメのキャラ

――では初心者に注目してもらいたいキャラクターを教えてください。

板倉 まずリヴァイ兵長の格好良さに惚れるから。クールでめちゃめちゃ強いっていう、人気投票やると主人公より上いっちゃうキャラでシンプルにシビれますよね。ただ、リヴァイ兵長に自分を投影できるかというと、やっぱ格好良すぎて無理なんでね、そのへんはまた別のキャラかな。

――自分を投影できるキャラは誰なんでしょうか?

板倉 エレンかなぁ。やっぱね、すぐブチギレて問題起こすっていう性格が、自分の過去とリンクしたんですよね(笑)。言わなきゃいいのに言っちゃうんですよ! 物語中盤であるキャラにエレンが拉致されちゃうところで、不利な状況なのに「お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ…」ってエレンが毒づくじゃないですか。そういうところに「そうなんだよ、言っちゃうんだよねぇ~」って感情移入しちゃいましたね。

 あとは、オススメはサシャですかね。暗い展開ばかり続く『進撃』で、度が過ぎた食いしん坊のサシャがいい感じに場をなごましてくれるんですよ。蒸かした芋を苦渋の決断で割って渡す場面で、「イカれてんだろ…」って突っ込みたくなるくらい割った芋のバランス悪いギャグとかね(笑)。でも、そんなサシャがある少女を助けるために命がけの行動起こすところで、また泣かされるんですよ……。

 

 ◆◆◆

 徐々にトークのボルテージが上がってきた板倉さん。後編では板倉さんが読んでいて嗚咽したという珠玉の名シーンや、物語のクライマックスであり、人間の暗部を描き出している「マーレ編」に関して熱量たっぷりのお話をしていただいたので、ぜひ後編もチェックしてほしい。

【続きを読む】「『マフラーを巻いてくれてありがとう…』のところでは変な嗚咽出ました」 板倉俊之が選ぶ、最終回直前『進撃の巨人』の名シーン

(文=TND幽介〈A4studio〉、撮影=文藝春秋/杉山秀樹)

進撃の巨人(33) (講談社コミックス)

諫山 創

講談社

2021年1月8日 発売