「終身」=「一生涯」の保証ではない
ここで気をつけなくてはいけないのは、ペット保険は人間の医療保険とは異なる損害保険であるということだ。
一般的に「生命保険」が将来経済的な損失が起こった場合に保険金が支払われるものであるのに対し、「損害保険」は、(事故や災害などで)発生した損害に対し、契約した金額(実費)が支払われるものという違いがある。
ペットは家族同様であっても「ヒト」ではなく、「モノ・財産」というカテゴリに入るため、自動車や家と同じように「損害保険」の対象となる。
ペット保険の契約は基本的に1年更新が多く、たとえ保険に「終身」という言葉が入っていても、人間の医療保険の「終身」とは意味が異なるということも知っておかなくてはならない。
ペット保険で「終身」とうたっている場合、詳細は各保険会社によって異なるが、一般的に「更新年齢に制限がない」という意味で使っているケースが多い。
ペット保険の保険契約期間に1年間が多いのは、「終身」であっても更新のたびに保険料があがったり、毎年審査を行って審査内容によっては次年度の契約更新が結べなかったりする「契約」を設けているからだ。
「どんな契約を結ぶかというのは、法的には当事者同士の自由です。『もう1年(同じ内容で)契約を継続したい』というのが加入側の“自由”だとしたら、『年齢的に契約の継続はできない』と保険会社が主張するのも“自由”なのです」
こうした細かい契約で「騙された」と悔しい思いをしないためには、加入時に免責事項(保険金が払われない場合)の確認をすることが重要だと細川弁護士はいう。
「保険会社には、保険契約に関する重要事項についての説明義務があります。免責事項は約款や重要事項説明書にも記載されているはずですので、加入前に必ず確認しておくべきです」
また、「病気になったとたんに、その病気は(保険の)適用外だといわれた」というトラブルについても、契約時に約款、重要事項説明書をきちんと確認しておくことで避けることができる。
「そもそも、『いざ病気になったら(保険金が)払われない』というわけではなく、『もともとそういう契約だった』という場合が多い。『そんな説明は聞いていない』『後から言われて約款を見たらたしかに書いてあるけれど、小さすぎて読めない』と言っても簡単には認められないでしょう」