ミュージシャンのGACKTは2月10日、自身のYouTubeチャンネルに「GACKTが愛犬を里子に出しました」という動画を公開した。
その内容は、5カ月間飼っていた愛犬・フェンディちゃんをペットロスに悩む友人の奥さんにサプライズで譲るというもの。愛らしいフェンディちゃんを見た女性は涙を流し、GACKTはフェンディちゃんに別れを告げて去るという映像が配信された。
この動画は、公開直後から「犬はモノじゃない」「理解できない」などの批判が噴出。多少は鎮火しつつあるが、その炎は今もくすぶっている。
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GACKTの動画はなぜ炎上したのか
ペットシッターとしてさまざまな家庭のペットに接している原田奈央さん(仮名)は「ありえない」と眉をひそめる。
「私がシッターで訪れたご家庭のなかには、動物愛護活動をしていて里親が見つかったのでお別れをした、というご家庭もあります。でも、GACKTさんのように家族として一緒に過ごしていたペットを手放した、という話は聞いたことがないですね」
たとえはじめから里子に出すと決めていても、別れはかなりツラいはず、と原田さんは指摘する。
「保護犬や保護猫の里親活動をしている人たちに聞くと、毎回身を切られる思いで里子に出している、と話していました。何より、受け入れ先と動物の関係構築にはさまざまなリスクが伴います。元々お利口だった子も、新しい家では無駄吠えしてしまったり、逃げ出してしまったりする可能性がある。
今回は動画の情報だけなのでわかりませんが、ワンちゃんが抱えるリスクへのフォローを感じられなかったのが残念ですよね」
また、動物の命の受け渡しを“ショー”のように演出したことも炎上を招いたのでは、と原田さんは話す。
「動画中や前後の動画で、顔合わせやお泊り期間を経て徐々に慣れていく様子がわかれば、ここまで炎上しなかったと思います。保護犬や保護猫も、いきなり里親に渡すのではなく、トライアル期間を経るケースが多いです。GACKTさんも段階を踏んでいると信じたいのですが、動画だけでは突然渡された“サプライズプレゼント”という印象が強いですよね」
GACKTは、炎上を受けて「ニコニコ生放送」や「17(イチナナ)LIVE」に出演し、先方の家族との話し合いの末に受け入れが決まった経緯を語っている。事前に顔合わせをしていたかどうかは不明だが、前後の流れを映さずに「一番感動するシーン」を切り取った演出も、多くの人が拒否反応を示した原因かもしれない。
「プレゼントという発想自体に問題がありますし、ご本人が『自分はいいことをしている』という考えで行動しているのも、反感を買っていると思います。本当に動物が好きな人にとっては、数カ月一緒に過ごしたワンちゃんやネコちゃんは自分の子どもと同じ。GACKTさんの行動には賛同できないですよね」