さまざまな問題が渦巻いている一方で、この騒動はひとつのきっかけになるのでは、と原田さんは話す。
「過激な誹謗中傷は支持できませんが、この動画に対して批判の声が上がるのは悪いことではないと思います。これを見て『さすがGACKTさん』なんて賛辞が集まったら動物を“モノ”と考えている人が多いという証拠なので、よっぽど恐ろしいですよね。フェンディちゃんは、私たちにひとつの問題提起をしてくれた存在でもあると思います」
成犬が見当たらないと思ったら…ペット探偵に舞い込む衝撃の依頼
長年“ペット探偵”として多くのペットとその飼い主を見てきたアイペット探偵局の白澤実さんは「そもそもフェンディちゃんとの関係が希薄だったのでは」と指摘する。
「犬や猫との暮らしは、小さい頃のやんちゃ時代や苦楽を共にして思い出を共有することで、人間にとっての価値が生まれます。GACKTさん個人の事情はわかりませんが、動物を簡単に譲渡できる人は、その犬や猫との間に歴史がない可能性が高いです」
実際、ペットとの関係性を築いていない飼い主からの依頼も少なくないという。白澤さんはある依頼人の言葉に衝撃を受けた、と振り返る。
「依頼人のお宅に行くと、まだ幼い小型犬がたくさんいました。トイレのしつけもできていないようで、そこらじゅうに排泄物が落ちていたんです。部屋の中を見渡しても、成犬がいなかったので『大人の子はいないんですか?』と聞くと『大きくなったら処分してる』と言われました。
その人はかわいい時期だけ飼って、そのあとは処分していたんです。高級クラブのホステスをしていてお金持ちそうだったので、動物もぬいぐるみやアクセサリーと同じ感覚なんでしょうね」
ほかにも「1週間で見つからなかったら、新しい犬を用意してくれ」と話す飼い主もいるという。命を軽んじている依頼人からは「ペットを最後まで看取る」という覚悟が感じられない、と白澤さんは嘆く。
ペットをモノ扱いする人がいる一方で、本当の家族として生活をしている飼い主は、粘り強く捜索を続ける傾向があるという。
「ある飼い主は小さなアパートで10頭近い成犬を飼っていて、1頭でもいなくなったら長い時間をかけて一生懸命探していました。もちろん多頭飼育は大きな問題ですが、ペットへの愛情は感じましたね。
また、コワモテの中年男性から飼い猫探しを頼まれたときは、飼い猫が遺体で発見されるという結果になってしまったのですが、若い付き人が部屋から出ていったあとに涙を流していました。ペットを大事にしている人とそうでない人は、見た目や職業では判断できないんですよね」