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 そもそも、ペットを飼うこと自体が“人間の都合”にほかならない、と白澤さんは語る。

「動物たちは人間に飼われたい、なんて思っていません。にもかかわらず、人間の都合で動物が苦しむのはおかしいですよね。彼らのように命を軽んじる人が減らない原因のひとつは『ペットショップ』にあると思います。動物の命がお金で売買される状況に、疑問を抱かない人が多すぎるのです」

推定価格75万円…川口春奈の愛犬も批判の的に

 かわいい子犬や子猫がショーケースに並ぶペットショップは一見癒やしの空間に思える。しかし、白澤さんが言うように動物の展示販売や、売れ残りのペットの殺処分を代行する“引き取り屋”の存在など、さまざまな問題が山積しているビジネスでもある。

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「ブームに流されやすい日本人は、人気の犬種や猫種をペットショップで買う傾向があります。数十年前にシベリアン・ハスキーが大ブームになったとき、多くの人がペットショップでハスキー犬を買いました。

 でも、大型犬のハスキーは成長すると運動量もかなり増えてごはんもたくさん食べるので、飼うのが大変な犬種です。当時、一時のブームに乗せられて飼った人のほとんどが、大きくなったハスキーを処分するという悲劇が起きました」

シベリアン・ハスキー犬 ©️iStock.com

 流行は一時的なものだが、生き物の命は10年以上続く……当たり前のことのように思えるが無責任な飼い主は減らない、と白澤さん。飼う側の意識を根本から変えなければ、ペット業界の問題は解決には至らないのかもしれない。

 前出のペットシッター原田さんも「日本は動物愛護後進国」と話す。

「ヨーロッパなどでは、ペットの展示販売についての規制が日本よりも厳しいと言われています。優良なブリーダーに譲ってもらったり、シェルターからもらうのが主流のようです。動物愛護関連の法律も厳しく、日本とはまったく状況が異なります。

 日本でも愛護団体から犬や猫を迎える方法がありますが、条件が厳しいためペットショップで買うという人も少なくないです。しかも街にはペットショップがあふれているので『ペットはお金で買うもの』という認識が抜けにくいのも事実です」(原田さん)

 じつは、GACKTに続けとばかりに女優の川口春奈の愛犬・アムちゃんの存在も物議を醸している。アムちゃんはフレンチ・ブルドッグという犬種で推定価格は75万円。その値段もさることながら“ペットショップで一目惚れして買った”という入手経緯にも批判が集まっていた。

推定価格75万円…川口春奈の愛犬も批判の的に ©️getty

「数年前までは愛護活動をしている人や感度が高い人がペットショップの問題点を指摘している印象でしたが、最近はネットやSNSを通して一般の人たちの価値観もアップデートしているように思います。本当に少しずつですが、貴重な一歩だと思います」(同)

 現在、話題のフェンディちゃんは譲渡先で暮らしている。平穏な生活を送っていることを祈るばかりだ。