「いい加減にしろよ!」
「問題と思ってないのか!」
去る5月13日、兵庫県警記者クラブで開かれた総会の場は荒れに荒れていた。報道各社から糾弾されていたのは、NHK神戸放送局の事件担当デスクである。
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遺族が提供した記録簿を、NHKが単独で先に報道
問題となったのは5月5日の朝、NHKが報じた知床遊覧船事故のニュースだ。
「遊覧船の空欄だらけだった無線記録簿を関係者から入手し、運航会社が以前から無線連絡を適切に行っていなかったことを明るみに出しました」(社会部記者)
ところが、この“スクープ”には裏があった。
「記録簿を提供した“関係者”は兵庫県在住の遺族だったのですが、代表取材の幹事社であるNHKに『(兵庫県警の)記者クラブで共有して下さい』と言って渡していた。しかし、受け取った記者はその約束を守らず、単独で先に報じてしまったのです」(同前)
2回目のクラブ総会は大荒れに
不審に思った遺族が他社の記者に問い合わせたことなどで問題が発覚。同日夜、NHKは慌てて提供された資料を記者クラブ加盟社に配ったのだが、その入手先はあくまで“関係者”。その後に開かれたクラブ総会でも入手経緯の説明を拒否し、謝罪もしなかったという。
「NHKは“取材源の秘匿”を繰り返すばかり。しかし、その取材源である遺族が我々に対して『NHKに渡した』と明かしているわけですから、論理が破綻している。こうしたNHKの一連の対応がクラブ内で問題となり、再度説明を求めたのですが……」(同前)
結果、2回目のクラブ総会は各社の記者から冒頭のような発言が飛び出すなど大荒れに。特にヒートアップしたのは資料を使った映像がいつ、どこで放送されたのかを確認する場面だ。