2024年4月、北海道旭川市で女子高生が橋から転落させられ殺害された事件で、殺人などの罪で起訴された内田梨瑚被告(22)と小西優花被告(20)。きょう3月7日、旭川地裁は小西被告に懲役23年の実刑判決を言い渡した。

内田の“舎弟”だった小西優花被告(卒業アルバムより)

 犯行当時、被害者が全裸で土下座する姿を動画撮影し、暴行の様子をビデオ通話で仲間に見せていたという内田被告。「私は旭川でボコボコにするつもりだったので、優花に『やっちゃうつもりだよ』と伝えると、『優花もやりたいです』と言ってきました」と供述しているという。凄惨な犯行の背景には、一体何があったのか。逮捕時に被告らの生い立ち、被害者との関係性に迫った「週刊文春」の記事を全文公開する。

 19歳だった小西被告は逮捕時は匿名で報道され、本記事でも「A子」と表記。改正少年法で起訴後の実名報道が可能な「特定少年」に当たり、起訴された2024年8月に地検が氏名などを公表している。(全2回の1回目/続きを読む

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(初出:「週刊文春」2024年6月27日号。年齢、肩書は当時のまま)

内田梨瑚被告(TikTokより)

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 北海道旭川市で17歳の女子高生が高さ10mの橋から転落死させられた事件。殺人容疑で逮捕されたのは21歳の女とその舎弟だった。地元でも札付きのワルだった2人はなぜかくも残虐な犯行に手を染めるに至ったのか。

 北海道旭川市、中心街から車を走らせること約20分の山腹にある景勝地「(かむ)()()(たん)」。木々の濃厚な香りが辺りに漂い、鳥がさえずる当地はアイヌ語で「神の里」を意味し、石狩川の激流や奇岩が通行人を苦しめる難所だった。彼の地に宿る神は「魔神」と呼ばれ、道ゆくアイヌの人々は祈りを捧げねばならなかったという。現在ではもっぱら心霊スポットとして知られ、地元民の肝試しの場所となっていたが、この里で4月19日、神をも恐れぬ残虐な殺人事件が起きてしまった――。

事件の発端は「電子マネー送金の失敗」

 社会部記者が解説する。

()(もい)市の村山(るな)さん(17)は4月18日、内田梨瑚(りこ)容疑者(21)からSNS上で自身の写真を無断で使用したことを咎められ、解決金として10万円を要求されたため、電子マネー10万円分の送金を試みた。ところが送金が失敗。激昂した内田は未成年を含む仲間3名とともに留萌市内の道の駅で待ち合わせ、そこから車で60キロほど離れた旭川市まで村山さんを連れ回した」